本研究の目的は,前向き縦断研究によって小学3年生から中学3年生において膝痛を新規に発症する危険因子を解明することである.5月時点で膝痛を認めなかった835名を対象に,下肢柔軟性や下肢形態を評価するとともに,年に3回の身体測定を行い身長の変化率を算出した.さらに毎月の自己記入式アンケートによって運動量と膝痛の有無を調査した.5月から1月までの膝の新規疼痛発症の有無を目的変数とし,学年,性別,身長の変化率,HSS Pedi-FABSに換算した活動量,大腿骨内側顆間距離,Q角,foot posture index,踵臀距離,下肢伸展挙上角,足関節背屈角度を説明変数として多変量解析を行った.小学3年生に比べて小学6年生と中学3年生で膝痛の発症が多く,活動量が高いほど膝痛の発症率が高かった.年齢と活動量が膝痛の新規発症について危険因子となることが示唆された.