デサントスポーツ科学
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Print ISSN : 0285-5739
研究論文
座位姿勢における動的バランス能力と体幹筋横断面積の関係の解明 −チェアスキー競技におけるパフォーマンス向上を目指して−
赤木 亮太飯塚 浩二郎平田 浩祐
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2020 年 41 巻 p. 185-191

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抄録

本研究では,チェアスキー競技におけるパフォーマンス向上に関する知見を獲得するために,健常な若年男性14名を対象に,体幹筋横断面積と座位姿勢における動的バランス能力との関係を検討した.超音波診断装置のパノラマ撮像モードを用いて,脊柱起立筋,腹直筋及び内腹斜筋-外腹斜筋の3筋の横断画像を取得し,筋横断面積を測定した.座位姿勢における動的バランス能力を測定する際には,外乱印加装置として使用する六軸モーションベース上に床反力計を固定し,さらにその上にチェアスキーのシートを乗せた.参加者にはその上に座るよう指示し,以下の3つの外乱を印加した際の動的バランス能力を評価した:1) 基底面を側方に動かす外乱,2) 基底面に傾斜をつける外乱,3) その両者を同時に付加する外乱.腹直筋の筋横断面積と傾斜外乱時の動的バランス能力に一部有意な相関関係がみられた.しかしながら,腹直筋よりも大きな横断面積を有する他の2筋と動的バランス能力との間に有意な相関がみられなかったことを加味すると,今回の結果を以て,体幹筋の筋横断面積の多寡が座位姿勢時の動的バランス能力に影響を及ぼすと断言するには至らなかった.

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© 2020 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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