本研究では加速度計で連続10日間測定した身体活動量と遺伝子損傷マーカーである尿中8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)のデータの揃った6,410人の男女の保存DNAを用いて,内因性抗酸化酵素の遺伝子であるsuperoxide dismutase 2 (SOD 2)の遺伝子多型を測定し,多型ごとに強度別身体活動と尿中8-OHdGレベルの関連について重回帰分析を用いて検討した.尿中8-OHdGレベルは抗酸化酵素誘導の活性が低いとされるVal/Val型で高い傾向を認めた.総身体活動量と尿中8-OHdGレベルの関連はVal/Val型で有意な負の関連を認めたが(β=-0.03, P<0.01),Ala/Val+Ala/Ala型ではそのような関連は認められなかった(β=-0.01, P=0.39).Val/Val型強度別では,3METs以上の中高強度の身体活動においても同様の関連を認めたが,6METs以上の身体活動では認められなかった.身体活動による遺伝子損傷防止効果は,個人の抗酸化酵素誘導能および運動強度によって異なる可能性が示唆された.