高齢者の“健康指標”である骨格筋の量・質と運動機能を2年間に渡って縦断的に検討することを目的とした.48名の高齢者が実験に参加し,65歳以上で70歳未満の対象者をG60群 (21名,年齢67.6±1.2歳),70歳以上-82歳以下の対象者をG70群 (27名,年齢73.3±3.8歳) に分類した.大腿部の筋エコー強度,筋厚,皮下脂肪厚,握力,上体起こし,椅子の座り立ち,5m最大速度歩行等を測定した.初回の測定から2年後にはG60群とG70群の外側広筋エコー強度,G70群の大腿四頭筋エコー強度は有意に増加した.G70群の外側広筋と外側部 (外側広筋+中間広筋) の筋厚が有意に低下した.一方,運動機能ではG60群またはG70群において上体起こし,椅子の座り立ち,5m最大速度歩行が有意に改善した.以上の結果から,2年間の縦断的検討により外側部で筋萎縮が認められたが,この筋萎縮が必ずしも筋機能の低下に直結するわけではないことが示された.