デサントスポーツ科学
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研究論文
高性能スポーツ用ゴム材料設計:ゴム網目制御技術からの挑戦
宮地 皓佑池田 裕子
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2022 年 43 巻 p. 146-154

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抄録

ゴム架橋体の機械的特性を支配する重要な因子として,硫黄架橋とフィラーによる補強がある.高性能スポーツ用ゴム材料の設計において,それらを適切に制御する必要から,今なお多くの研究が行われている.しかしながら,ゴムの加硫反応やフィラー充てんによる補強効果ついては,未だ十分には明らかとなっていない.従って,高性能スポーツ用ゴム材料の革新技術を確立させるために,ゴム科学技術のパラダイムシフトを実現する必要があり,そこでは,硫黄架橋と補強の本質をより深く研究することが求められる.そこで本研究では,硫黄架橋試薬がゴム鎖を結合するだけでなく,ゴムの補強のための網目構造を制御する重要な役割を担っていることを明らかにするために研究を行った.その結果,酸化亜鉛がゴム架橋体の不均一な網目構造形成,特に,網目ドメインとその連続相の形成に重要な働きを示していることを見出し,ゴムマトリックス中の網目ドメインとその連続相の優れた補強効果を示すことができた.この新たな知見はスポーツ用品製造業界におけるゴム材料設計に役立つ鍵になると期待される.

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© 2022 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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