芸術工学会誌
Online ISSN : 2433-281X
Print ISSN : 1342-3061
芸術工学会誌76号
楽曲間におけるモチーフの継承に関する研究
第1期~第2期ウルトラシリーズの主題歌を対象とした 平均情報量の分析結果に基づいて
飯野 秋成飯野 なみ
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2017 年 76 巻 p. 42-49

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抄録

本稿では、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、1つの番組の主題歌に含まれるメロディのモチーフが、後続番組の主題歌のメロディに継承されている状況を、メロディ譜から考察した。さらに、メロディに含まれる音符の音価について、平均情報量による分析を行い、モチーフの継承による平均情報量の変化の特徴を示した。  まず、「第1期ウルトラシリーズ」の主題歌である「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のそれぞれについて、作曲者の作風と、当時の各楽曲制作に求められた方向性を文献からリサーチした。「ウルトラセブン」は「ウルトラマン」の後継番組でありながら、主題歌の制作においてモチーフを継承する意図は確認されなかった。さらに、メロディ譜の分析により、「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のメロディには、明確に共通といえるモチーフは見られなかった。  また、「第2期ウルトラシリーズ」の主題歌である「帰ってきたウルトラマン」、「ウルトラマンA」、「ウルトラマンタロウ」、および「ウルトラマンレオ」には、「ウルトラマンの歌」および「ウルトラセブンの歌」のモチーフが、それぞれ変形されながら継承されていることを確認した。  さらに、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、メロディの音価と音高の平均情報量を求め、2次元空間に配置すると、楽曲間のモチーフが大きく変形することなく継承されている場合に近接することを示した。モチーフが大きく異なる「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」の2_曲が早期に生み出されたことにより、その後のシリーズにおけるモチーフ継承によって統一感を保持しながらも、多彩な楽曲群が生み出されることにつながっていることが示された。

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