芸術工学会誌
Online ISSN : 2433-281X
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芸術工学会誌 84号
  • ガラスと磁器の作品制作における熔着実験
    加藤 千佳
    原稿種別: 論文
    2022 年 84 巻 p. 4-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
     本論文は、熔着という技法に着眼点を置き、ガラスと磁器の熔着において貫入、剥離が最も少ない条件を明確することを目的とした。実験方法は磁器との熔着を行うために、50mm × 50mm 厚さ7mm の磁器板の上に、板ガラス40mm × 15mm 厚み6mm、カレット8g の2 種類のガラスを乗せ、窯で焼成を行った後、貫入確認と剥離確認の結果を比較する。実験項目は、磁器板の凹凸、釉薬の有無、上絵の具の有無、上絵の具の鉛の割合を比較するために12 項目、焼成温度は4 段階に設定した。確認方法として、石川県工業試験所九谷焼技術センターで行われている形式を用いた。実験結果から、今回の目的である貫入、剥離が全く見られない条件は導き出すことができなかった。しかし、貫入と剥離を緩和できる条件は確認できた。釉薬と有鉛上絵の具を使うことで、目的である貫入が全く入らない条件はできないが、それに近い表現が可能であるという結果が得られた。
  • 幼児の誤飲事故の防止の観点から
    李 志炯, 菅谷 憲一
    原稿種別: 論文
    2022 年 84 巻 p. 12-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究では、幼児の医薬品誤飲事故発生時の現場状況を参考に誤飲事故の主な原因であるPTPシートに対する印象に焦点を絞り、PTPシートにおける気持ち悪さを喚起するトライポフォビックな円形集合体形状を取り付けることによる印象の変化とそれによる行動の変化を調査した。その結果、気持ち悪さによりPTPシートに対する印象が「好き」から「嫌い」に変化することが明らかになった。また、PTPシートに対する印象は円形の配列による連想イメージに影響されやすく、気持ち悪さを感じてもポジティブなイメージが連想されれば好印象を持つことが明らかになった。一方、上記の印象の変化はPTPシートを触る行動にも影響を与え、気持ち悪さによりPTPシートを触った人数は減少する傾向が見られたものの、円形の配列による連想イメージによって触った回数、触った総時間が増減することが明らかになった。これらのことから円形集合体形状による気持ち悪さとその配列による連想イメージが幼児のPTPシートに対する印象と行動に与える影響を確認することができた。
  • 航空路管制業務における航空管制卓画面の分析
    平子 元
    原稿種別: 論文
    2022 年 84 巻 p. 20-27
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
     本稿は、複雑な操作を伴うタスクをわかりやすく視覚化する試みについて述べる。本研究の目的は、情報機器におけるユーザーインタフェースデザイナー(以降、UIデザイナー)が複雑な操作を伴うタスクを理解しやすくなるための知見を得ることである。タスクの視覚化方法の先行研究より、複雑な操作が伴うタスクを視覚化の対象とした場合2つの課題があると考えた。2つの課題を解決するタスクをわかりやすく視覚化する方法として先行研究の「Operational sequence diagrams」を改良したタスクの視覚化方法を提案した。提案したタスクの視覚化方法を用いて、複雑な操作を伴うタスクである航空管制卓を対象にタスクの視覚化を試みた。試みでは、UIデザイナーにタスクの視覚化をするために観察調査を実施していただき、観察調査で得た情報を基にタスクの視覚化とタスクの分析を実施していただいた。試みより、UIデザイナーにタスクの視覚化に関して所感を得た。所感より、UIデザイナーは複雑な操作を伴うタスクを理解しやすくするために、タスクの前後関係をわかりやすくすることと事後インタビューの内容をタスクと合わせて確認しやすくすること、また、観察調査の段階よりUIデザイナーが参加する必要があるという知見を得ることができた。
  • 姜 澎, 田中 隆充
    2022 年 84 巻 p. 28-34
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    This study aimed to assess how a user’s assembly process was impacted when a curved shape characteristic was added to a different position on the joint. An experiment was conducted with 30 participants who were asked to assemble three variations of the joint model with components similar to the geometric, centered curve design, and boundary edge curve design, respectively, as stimulus information. The participants’ assembly actions were recorded and statistically analyzed. The results indicated that the efficiency and process varied depending on the position where the curve characteristics were added as stimulus information, and the performance gap also varied depending on the participants. Thus, controlling the timing of cognitive transformation by curve characteristics to increase efficiency and ease of shape perception was considered significant for assembly tasks with similar components.
  • 日本のデザイン行政と振興活動の展開(その1)
    青木 史郎, 黒田 宏治, 蘆澤 雄亮, 熊 娜, 余 剣
    原稿種別: 論説
    2022 年 84 巻 p. 35-42
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー
    この論説は、通商産業省が体系的組織的にデザイン行政を開始した経緯を、その背景と意図に遡り考察することで、日本のデザインと産業の発展に行政が果たした役割を明らかにすることを目的とした。通商産業省は、1958年5月に通商局に「デザイン課」を設置、特許庁から「意匠奨励審議会」を移管し、12 月に答申を提出。翌59年には「輸出品デザイン法」を制定、日本貿易振興会は答申を受け, 年度末には「ジャパン・デザイン・ハウス」を開設した。通商産業省は、ほぼ2年という短期間に、中核組織、ビジョン、関連する法律、手足となる振興機関という、基本的な体制を整えた。このデザイン行政の出発については、これまで日本製品の摸倣問題への対応によるものと理解されてきた。しかし、盗用摸倣の対策と若干の予防策をもって、大きな権限を与えられる中央官庁の「課」が新たに設置されたとは考えにくい。盗用模倣問題という避けて通れない直近の課題を掲げつつ、むしろ「デザイン課」という名称(英文名は Industrial Design Section) が示すよう、戦略的な視点から「インダストリアルデザイン」の産業装備化を図るという、経済官庁らしい判断がなされていたと理解すべきである。そして、「デザイン課」の設置そのものが「デザインが大切である」との強烈なメッセージとなり、日本のデザインの本格的発展を導く大きな契機となったと思われる。
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