抄録
今日、工場等の労働現場において労働災害を防止するために座学やシミュレーターを利用した安全教育が実施されている。その結果、年々労働災害の件数は減少している。しかし、依然として労働災害の防止は必要不可欠である。特に、近年はシミュレーターや危険体験による安全教育が注目されている。危険体験とは、意図的に労働災害が起こり得る状況を準備し、危険が存在する状況を疑似的に体験するというものである。本研究は、地元工場との共同研究の一環として玉掛け作業の安全教育を目的としたVRシステムを開発した。玉掛け作業は二人以上で実施することが基本であり、特に重要なのは指差呼称及び死角の安全確認である。そこで、本研究では、ゲーム AI による制御で死角内に自律的に入る作業員を導入するとともに、音声認識により指
差呼称を実現することで、より現実に近い工場内環境を開発した。