日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集
Online ISSN : 2758-6480
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前付け
基調講演
特選セッション
口頭セッション 1 : 学習(1)
  • 伊藤 賢一, 粟飯原 萌, 五味 悠一郎, 岡田 真紀, 早川 麻美子, 柴山 英樹, 内海 美由紀
    p. 28-31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    化学は物質の構造や状態,変化を研究する学問であり,新物質の創造や環境問題の解決等に役立つ。しかしながら,その学習には暗記量の多さだけでなく,抽象的概念を理解する必要がある等の困難さが伴う。そこで化学教育ではこの困難さを,ゲームを利用することで乗り越えようとする試みが進められているが,その社会的認知は低い。今回我々は,化学の学習に役立つゲームに関する調査研究を行ったので,その詳細について報告する。
  • 横光 健吾, 入江 智也, 新川 広樹
    p. 32-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    著者は、支援者や学校関係者、養育者を対象に実施してきたゲーム障害に関するワークショップ、学術大会でのシンポジウムを基に、適切なゲーム使用を促進する情報提供素材を開発した。情報提供素材では、認知行動療法のエッセンスを取り入れつつ、具体的な例をちりばめながら、①適切なゲームをする方法、②ゲーム使用の先行事象に対するアプローチ、③ゲームを直接的に減らす方法、④ゲーム以外の時間を増やす方法、を整理した。情報提供素材の開発、及びその普及・啓発は、専門家によるカウンセリングとは異なり、人的コストが最低限で済む予防教育プログラムである。多くの学校現場においてオンラインゲームに関する問題の予防教育が期待されていると考えられる今日において、学校教職員の人的コストを消費することなく予防教育を提供することを目指すことができるという点で、本取組は社会的ニーズに合致した取り組みである。
口頭セッション 2 : 視覚
  • — 課題特性と効果的活用法の検討 —
    半田 知也, 石垣 陽
    p. 36-41
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    弱視治療における視覚野の賦活とアドヒアランス向上を目的としたデジタルゲームの効果を、近赤外分光法(NIRS)を用いて評価した。健常青年被験者(n =10, 各実験に5 名ずつ参加)に対し、異なる視線移動パターンを持つ市販ゲーム2種(『マリオカート8』と『スマッシュブラザーズ』)とオリジナルゲーム2 種(『窓ふきゲーム』と『作画ゲーム』)を使用し、後頭葉視覚野(V2-V3 領域)の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度変化を測定した。すべてのゲームで安静時と比較して有意なoxy-Hb 濃度の上昇(p<0.01)が確認され、特に画面全体への視線移動を要する『スマッシュブラザーズ』において最も高い賦活が観察された。視線移動範囲の広いゲーム課題が視覚野の効果的な賦活を促す可能性が示唆された。
  • 毛利 世名, 半田 知也
    p. 42-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、デジタルゲームは小児の弱視訓練において有用なツールとして活用されつつある。一方で、長時間のプレイが近視化や眼疲労などの視機能へ与える影響については懸念が示されている。本研究では、デジタルゲームの種類が視覚反応に及ぼす影響を比較するため、異なる眼球運動パターンを有する3 種類のデジタルゲーム課題を用いて、1時間のプレイと終了後15分の休憩による屈折、調節、瞳孔径、眼位の経時的変化を検討した。その結果、格闘アクションゲームにおいて、可逆的な近視化と調節力の増大が確認された。デジタルゲームの種類によって視機能への負荷は異なる可能性があり、弱視治療にデジタルゲームを活用する際には、その潜在的な課題への理解を深めた上で、プレイ時間や休憩の取り方を調整する必要がある。
  • — TEM(複線径路等至性モデリング)分析による晴眼者との比較研究 —
    長谷川 綾音, 斎藤 進也, サトウ タツヤ
    p. 47-52
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ビデオゲームは視覚情報への依存度が高く、視覚障害者にとってプレイが困難であると考えられてきた。しかし、実際には娯楽としてビデオゲームを継続的に楽しむ視覚障害者も一定数存在している。視覚障害者には、晴眼者とは異なるビデオゲームの楽しみ方があると考えられ、その点を詳らかにすることが本研究の目的である。日常的にビデオゲームをプレイしている視覚障害者と晴眼者の経験を複線径路等至性モデル(TEM)を用いた比較分析を行った結果、彼らの娯楽との出会いや関わり方の変遷における共通点と相違点が明らかになった。
口頭セッション 3 : ゲーム文化(1)
口頭セッション 4 : ゲーミフィケーション
  • – 実験哲学の事例を通じて –
    犬田 悠斗, 木村 知宏, 藤本 徹
    p. 64-69
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、実験哲学に関するゲーミフィケーションを活用した新たなオンライン調査方法の開発を行った。その後、Google フォームを用いた調査と比較し、回答結果とエンゲージメントについて評価を行った。回答結果については、2 つの質問項目を除いて統計的な有意差は見られず、記述統計量を確認しても差は見られなかった。このことから、開発したオンライン調査が従来の調査方法と基本的には同様に使用できることが示唆された。一方で、2つの質問項目において統計的な有意差が見られ、ゲーミフィケーションを活用することで、社会的望ましさ反応バイアスの影響を抑制できることが示唆された。エンゲージメントについては、感情的エンゲージメントのみに統計的な有意差が見られ、行動的、および、状態的エンゲージメントには統計的な有意差は見られなかった。このことから、複雑で難解な実験哲学の調査においても、ゲーミフィケーションを活用することで、興味や楽しさといった感情的反応を呼び起こせることが示唆された。加えて、自由記述を分析した結果、「選択と結果」に言及している感想・コメントが最も多く、感情的エンゲージメントを高める上で効果的であることが分かった。
  • 岸本 好弘, 原 正幸, 田中 祐樹
    p. 70-73
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会は、国内におけるゲーミフィケーション事例の収集および普及を目的に、「勝手にゲーミフィケーション大賞」を2020 年より毎年開催してきた。本稿では、5 年間にわたる活動を振り返り、ノミネートされた事例の傾向や特徴、ゲーミフィケーションの普及における具体的な成果、さらには今後の課題について記載する。本コンテストは、革新的な事例を発掘し、ゲーミフィケーションの認知度向上、事例収集、コミュニティ形成を目的とした。2020 年から2024 年までに計197 サービスをノミネートし、受賞事例は多様な分野にわたる広がりを示した。「勝手に」というユニークな形式を特徴とし、選考には体験価値を重視した。しかし、公平性や選考プロセスの一貫性には課題が残った。
  • – 2025年1月 –
    床鍋 佳枝
    p. 74-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    PISA で高い成績を収める日本の算数学力の基盤である学習指導要領を、日本のゲーム産業の強みと融合し、ゲーミフィケーションを活用したアプリとして再現した算数教材の海外展開を報告する。国際市場や異文化圏における受容性、教育効果の可能性と課題を考察する。
口頭セッション 5 : キャラクター
口頭セッション 6 : 歴史・調査
  • MENG Kainan
    p. 94-97
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、中国ゲームセンターの黎明期から政策の影響を受けた業態転換までの歴史を分析し、政策と市場の相互作用が産業構造に与える影響を明らかにした。1980 年代初期、日本企業の技術輸出が中国のエンターテインメント産業の形成に貢献し、2000 年以降の規制強化が業界に深刻な影響を与えたことが確認された。また、クレーンゲーム専門店の台頭は、政策環境における市場の適応能力を示している。
  • –地方紙のありようを中心に–
    川崎 寧生
    p. 98-103
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本発表の目的は、ゲーム文化に対する社会的な認識の地域性について、その一端を明らかにすることである。主に、ゲーム文化受容に大きく差異が存在する隣県同士の、千葉県と茨城県内の地方紙を対象とする。発表では、ビデオゲームが全国的に取り上げられ始めた1977 年から、ゲームセンターが法規制に至る1985 年までの、初期のゲーム文化受容における地域的なありようについて、地方紙での扱われ方と、周辺の社会環境を踏まえて調査分析する。
  • – 横断調査 –
    鈴木 真由, 横光 健吾, 入江 智也, 新川 広樹
    p. 104-107
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、日本に住む青少年のオンラインゲームのプレイ時間と関連する問題を調査するため、調査を実施することを目的とした。オンライン調査会社TesTee に登録し、参加に同意した12~18 歳の9,732 名が調査に参加した。そのうち、毎月のお小遣いが10 万円以上であると報告した者と、毎月のゲーム内購入が10 万円以上であると報告した者の、合計33 人の参加者のデータを外れ値として除外し、9,699 人を分析対象とした。参加者には、人口統計学的情報、ゲームプレイ時間、1 日の勉強時間と睡眠時間を尋ねた。各変数の記述統計量を算出した結果、オンラインゲームに費やした平均時間は、平日が88.74 分(SD = 106.66)、週末が125.50 分(SD = 144.79)であり、約22%がIGD のカットオフ基準を超えていた。また、ゲームを全くプレイしない青少年も一定数存在することが明らかになった。今後、ゲーム種類の影響や健康なプレイヤーの特徴を研究し、標準データを活用した予防教育の開発が求められる。
口頭セッション 7 : ゲームデザイン
口頭セッション 8 : ゲームと社会
  • ~目標達成過程に注目したノベルゲーム作品論の方法提案~
    木村 亮太
    p. 121-126
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本論はビデオゲーム作品論のための方法として、目標を達成しようとするプレイヤーに作品が要求する戦略や思考に注目することを提案し、適用例としてノベルゲームである『428~封鎖された渋谷で』の作品分析を行う。目標達成への過程を見ることによって、キャラクターの行動や思考、性格を、プレイヤー自身が取り扱うべきものとして提示するという表現可能性をノベルゲームが持っていることが明らかになった。
  • – サービス化するコンテンツ産業の広告プラットフォームの変化の視点から –
    田中 絵麻, 陳 寛
    p. 127-132
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、デジタルゲームタイトルの運営会社が開発したゲームタイトルの広報を実施する際にどのようなアプローチが有効であるかを解明するため、その事前段階としての研究領域の整理と、研究法を検討する。SNS の登場と普及により、企業がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に「公式アカウント」を開設・運営し、より直接的に広報活動を実施するようになっている。また、SNS 上でのコミュニケーションで成されるデータを用いてマーケティングを行うSNSマーケティングも注目を集めるようになってきた。さらに、SNS プラットフォーム上では広告配信も実施されるため、広告、広報、マーケティング活動の全体を管理・運営する必要がある。こうしたなか、オンライン上で提供されるゲームタイトルや周辺サービスでは、公式アカウントによる広報がユーザーの継続的な利用を促進する役割を持ちつつある可能性がある。ただし、この研究を実施していくためには、その前段階として、ゲーム広報の研究領域や研究方法の検討が必要である。
  • – 総合的な学習の時間「推しごとゼミ」の実践 –
    藤川 大祐, 牧野 太輝, 見舘 好隆, 小野 憲史, 小牧 瞳
    p. 133-138
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、学習者が「オタク」であることを肯定され「オタク力」とされる諸能力を伸ばすことが期待されるようなサンクチュアリ(聖域)としての教室や授業のあり方を明らかにする目的で、「推し」という語の使われ方について検討した上で、中学校の総合的な学習の時間にゼミ形式で全19 回の「推しごとゼミ」を実践し、授業中の様子や事後アンケートからこの授業のサンクチュアリとしてのあり方を検討した。まず、「推し」については、「推し活」という語が使われるようになり、「オタク」という語の否定的あるいは自虐的な意味合いが薄まったとともに、「推し」という語の使い勝手の悪さが払拭されたことを確認した。そして、「推しごとゼミ」においては、ゼミの序盤から多様性の尊重が教師や生徒によって繰り返し言及され、生徒たちは心理的安全性をもって探究活動ができ、諸能力の伸長が自覚されたことが確認された。
口頭セッション 9 : ゲーム体験
  • – 日本人コミュニティへのWeb アンケート調査の結果から –
    髙橋 佑基
    p. 139-144
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    現実世界の日本社会では、若者の性的関心・行動の減少が指摘される一方で、メタバースの一種であるソーシャルVR、その中でも若年層がユーザーの大半を占めるVRChat では、バーチャルセックスが一つの文化として根付きつつあるという言説が広がっている。本発表では、VRChat の日本人コミュニティへのWeb アンケート調査結果をもとに、若年層ユーザーのバーチャルセックスの実態把握を試みた。その結果、次のことが明らかになった。(1)生物学的男性は現実世界での性交の経験率とVRChat でのバーチャルセックスの経験率がそれぞれ過半数を占めているのに対し、生物学的女性は現実世界での性交の経験率が生物学的男性に比べて著しく高く、VRChat でのバーチャルセックスの経験率は著しく低い。(2)VRChat でのバーチャルセックスの経験はあるが、現実世界での性交の経験がないという層が一定数存在する。(3)生物学的男性の場合、本人の性的指向や、本人が異性を演じているかどうかに関係なく、異性以外とのバーチャルセックスの経験が多くみられた。
  • 廣田 雅春
    p. 145-148
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ビデオゲームのレビューは,そのゲームをプレイしたユーザの感想や,ゲーム体験,バグ,ゲームのシステム,ストーリーなどの多様な情報を含んでいる.そのため,それらのレビューは,ゲームの開発者にとってはゲームの開発や改善の指針となり,ユーザにとってはゲームの購買行動の選択の参考になる重要な情報源である.本研究では,Steam に投稿された日本語のレビューを対象に,12 のジャンルの1,700 個のゲームから得た344,126 件のレビューに対して感情分析を適用することで,それぞれのジャンルについてユーザが持つ感情を分析する.結果として,ジャンルごとにユーザが投稿するレビューの感情の傾向がことなることを示した.
  • 出口 瑛梨佳, 橋山 智訓
    p. 149-154
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究は、VR 環境におけるゲーム体験の向上を目的に、VR と非VR 環境でのプレイ中の生理的反応とゲーム体験の差を検証した。実験では既存のゲームを用い、瞬きや心拍に注目して分析を行った。結果、瞬きの回数やLF/HF比に有意差が見られ、VR 環境での没入度が高いことが示された。また、瞬きと心拍から印象的なシーンを予測するモデルの可能性を検討した。
口頭セッション 10 : アプリケーション・作品
  • 丸谷 和史, 横坂 拓巳, 磯谷 悠子, 大谷 智子
    p. 155-160
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ビデオゲームにおけるリメイク作品は単体のスコアが注目される傾向があり、オリジナル作品との関係の中で評価する手法が確立されていない。本研究では、オンライン調査で収集したオリジナル作品とリメイク作品のそれぞれに対するスコアを解析した。その結果、リメイク作品の評価は、その作品がゲームとして優れているかという評価軸と、オリジナル作品を再構成した作品として優れているかという評価軸で表現できることを示した。
  • —専門学校での導入による有用性の検証—
    赤坂 優太, 平松 燿, 山下 恭平, 杉浦 一徳
    p. 161-165
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    一般スポーツと比較して、e スポーツ領域では選手の健康管理システムや健康問題に関する研究が不足している。本研究では、e スポーツ選手の健康状態を包括的に管理できるシステムを開発し、e スポーツ領域における管理体制の確立を目指す。本稿では開発したシステムをe スポーツ専門学校の学生・講師を対象に導入し、システムの有効性とユーザビリティを検証した結果、健康管理システムとしての基本的な有効性が確認された。今後はAPI による詳細なデータ取得機能を実装し、プロe スポーツ領域での検証を通じて、より実践的な健康管理システムの確立を目指す。
  • 野中 雄太
    p. 166-169
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、AI の技術は進化を続けている一方で、その分必要なデータ量の増加や実行が可能な環境を整える難易度も上昇し続けている。この現状は、ノウハウや資料をあまり所有していない個人開発者や、初学者には不利であり、ノウハウや資料を有している開発者との間に大きな格差が生まれてしまう。そこで、本稿では個人開発者や初学者に向けて、「少数のデータで実装できること」と「初学者でも活用しやすいこと」の2 点に重点を置いた、2D アクションゲームマップの自動生成手法について研究することとした。そして、研究の中で、大まかに配置したゲームマップを座標データへと変換し、その座標データを用いて一つのマップデータからゲームマップを生成することに成功した。その手法の中でも、特に優れていたのが、マルコフ連鎖を用いた手法であり、元マップの特徴を再現しながら、新たな個性も持ち合わせているマップを生成することが可能となっている。
口頭セッション 11 : シリアスゲーム
口頭セッション 12 : 学習(2)
口頭セッション 13 : ゲーム文化(2)
  • – 東アジアの言語圏での人気ゲームをめぐる動画配信とユーザーインタラクションに関する考察 –
    Roth Martin
    p. 201-205
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年のデジタルプラットフォームの発展に連れてゲームの遊びは個人的なものから広く共有されるものになった。とりわけ、これまで主に参考資料やパラテキストとして認識されてきた実況動画・プレイ動画配信プラットフォームが、ゲーム文化の中心的な場になったと言っても過言ではない。本発表は、アジアの状況を視野に入れる第一歩として、人気ゲーム『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(任天堂2023)と、『ストリートファイター6』(カプコン2023)がYouTubeで日本語、韓国語、中国語、英語でどのように遊ばれているかを、動画内容とユーザーのコメントを中心に分析・考察する。
  • 張 愷洋, 今給黎 隆
    p. 206-209
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本研究では、日本デジタルゲーム学会 第14 回年次大会で提案したリバーシの指導方法の有効性を検証した。AI 対戦やリバーシに関するパズルを用いて最善手を選択する能力や各手の思考時間について指導のあるなしで比較をした。結果として、提案法は最善手を選択する能力を向上させるとは言えなかったが、長く考察する効果を与えられたことが判明した。
  • 藤原 整
    p. 210-215
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ヒマラヤ南麓に位置するブータン王国を対象に、同国のモバイルゲーム文化がどのように育まれてきたのか、そしてそれが同国のメディア・インフラストラクチャーにどのように支えられているのか、論じていく。筆者はこれまで、ブータンの情報化、主に携帯電話の普及が同国社会にどのような影響を与えてきたのか研究してきており、近年は、そのなかでもモバイルゲームが急速に浸透している状況に注目している。本論ではまず、携帯電話普及の歴史を概観し、それがどのようにモバイルゲームの流行へ繋がってきたのか詳述する。続いて、メディア・インフラストラクチャー論を援用し、通信を支える自動車道路と送電網の成り立ち、それらの基層を成す自然を含めた層序構造について言及する。最後に、ブータンのインフラ開発がインドの支援で成り立っている点について指摘し、一方で、同国のゲーミングコミュニティがオンラインを通じて近隣諸国へと広がっている現状について論述する。
企画セッション 1
  • 小出 治都子, 中林 寿文, 尾鼻 崇
    p. 217-220
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    近年、ゲーム会社が自社のゲーム作品や中間生成物を活用する動きがみられるようになり、ゲームに関連する資料を含めた保存や、それを活用した展示やイベントが活発に行われるようになった。このような状況を踏まえて、本セッションは一般社団法人に所属する理事3名によって、「産学官および博物館の視点からみるゲームの保存と利活用に関する展望と課題」と題して、産学官(/館)のそれぞれの動向を踏まえつつ、ゲームの保存と利活用について事例を挙げつつ、ディスカッションを行うことを予定している。また、登壇者同士の議論だけでなく、フロアからも活発な意見を頂戴することを期待したい。
  • – IPを継続活用する収益事業である点に着目して –
    中林 寿文
    p. 221-222
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    ゲームの文化的重要性が認識され、資料の収集・保管・調査研究がなされるようになったが、収益事業者であるIPホルダーにとっては、維持費用が伴うゲーム資料の保存を持続したり、博物館等での企画展に対して事業の収益源であるIP の利用を不用意に許諾したりするのは必ずしも妥当とはいえない。そこで本稿では、何に費用がかかり、どのような技術的困難さ、懸念点があるかを整理した上で、持続するために必要なゲーム資料活用のモデル化について検討する。
  • – 「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展」を事例として –
    尾鼻 崇, 小出 治都子
    p. 223-224
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    京都国際マンガミュージアムで開催中の「のこす!いかす!!マンガ・アニメ・ゲーム展」はマンガ・アニメ・ゲームのアーカイブに焦点を当てた展示である。ゲーム分野では、アーケードゲームの保存を「大きさ」「メンテナンス」「利活用」の3 つの課題に整理して展示している。本展からもわかるように、ゲーム保存には多くの議論が必要であり、収集・保存・活用のサイクル構築が必要となる。そのためには産官学の連携による「動態保存」のノウハウと展示等の利活用の蓄積が重要と考えられる。
企画セッション 2
  • 古市 昌一, 松野 裕, 粟飯原 萌, 高澤 有以子, 犬田 悠斗, 三田村 勉, 藤原 裕也, 島崎 敬, 栗山 章, 後藤 誠, 小野 ...
    p. 225-226
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    第1 回シリアスゲームジャム(SGJ)を2014 年に開催してから10 年を経て,"サイバーセキュリティ"や"防災"等10のテーマで多数のシリアスゲームが制作された.成果の一部は運営者側マニュアルとして論文化されて従来より企画と運営が容易になった他,大学等の講義やゼミへの手法の活用も行われている.また,最近実施されるゲームジャムには世の中の課題をテーマとしたものが増え,10 年前よりもシリアスゲームに対する関心が高まったと考えられる.更に,2024年3 月に実施したSGJ9 では7 本のゲームが制作され,そのうち2 本が2025 年に製品化予定であるのは,初のケースである.10回のSGJ開催を経て,これまでの歩みと今後の課題について,運営者,参加者,製品化担当者の各視点からの発表と,パネルディスカッションによる討議により明らかにする.
  • – 運営の動機およびシリアスゲームの効果の評価 –
    松野 裕, 粟飯原 萌, 高澤 有以子
    p. 227-230
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    「第9・10 回シリアスゲームジャム」の運営者の視点から, 運営の動機およびシリアスゲームジャムの効果について議論する.なぜ運営者はシリアスゲームジャムを開催・運営しようとするのか, およびその効果の評価をどのようにするのか議論する.開発されたゲームも紹介する.
  • – シリアスゲームジャムの参加意義の検討 –
    犬田 悠斗, 三田村 勉, 藤原 裕也
    p. 231-233
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    本稿では、参加者の視点から、シリアスゲームジャムの価値とリスクについて考え、それを踏まえて参加意義を検討した。価値としては、チームでのものづくりを体験できること、ゲーム開発スキルを学習できること、社会課題について学習 できること、実績の獲得、ネットワークの形成が挙げられた。一方でリスクとしては、不健康な活動と体調不良、自尊心・プライドの崩壊、チーム内の衝突、ストレスと圧迫感が挙げられた。これらを踏まえて、参加意義としては、学習と実践を通じた自己成長、実績の獲得とキャリア形成、自己表現を通じた社会貢献が挙げられた。
  • 古市 昌一, 島崎 敬, 三田村 勉, 栗山 章, 粟飯原 萌
    p. 234-239
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    日本デジタルゲーム学会教育SIG ではシリアスゲームジャム(SGJ)をこれまで10 回実施し,世の中の課題解決にゲームのチカラを利用可能であることと,「シリアスゲーム」という名称の知名度向上とその開発プロセスの普及に寄与してきたが,成果の普及による課題解決も近年期待されるようになった.一方,2024年3月に実施したSGJ9 では開発された7 本のうち2 本で企業による製品化が試みられ,社会実装とビジネス化を踏まえたSGJ のあり方について,議論が必要な段階がやってきた.これらは,世の中の課題である「防災」,「医療健康福祉」,「学習・教育」等課題の性質や方向性,ステークホルダの多様性を考慮して考える必要がある他,SGJ 参加者の帰属組織や課題に対する意識,SGJ 終了後の効果測定や普及に向けたフォローアップ等を含めて総合的に考える必要がある.本稿では,これらの各観点から諸課題について報告する.
  • 後藤 誠
    p. 240-242
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/28
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    長年シリアスゲームに注目し、シリアスゲームジャムに参加するかたわら、シリアスゲーム開発を目的として2018 年に法人を設立した。その後、ギャンブル依存症対策を目的としたシリアスゲームをリリースした。その過程でシリアスゲーム開発を事業として成立させるうえで、幾つかの知見を得た。
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