抄録
本稿は、『ファイナルファンタジーXIV』(FFXIV)を長期的に展開する「文化システム」として捉え、日本のプレイヤー・コミュニティを対象とした約10 年にわたるエスノグラフィ調査をもとに考察を行う。2013 年の新生以降、『FFXIV』は大きく変化を続けてきた一方で、プレイヤーにとっての一貫性や親密さを維持し、ゲーム世界を日常生活の社会的・感情的・物質的実践の中に組み込む場として機能してきた。本稿では、長期的な参与観察とインタビューを通じて、持続的な仮想世界におけるエスノグラフィの方法論的課題—時間投資、信頼関係の構築、そして調査期間を超えた関与の難しさ—を検討する。さらに、拡張パッケージのリリース、サーバー構成の変化、グローバルな出来事、プレイヤー自身のライフヒストリーといった要因が、調査時点ごとに観察可能な文化実践やコミュニティのあり方を大きく左右することを示す。こうした時間的視点を踏まえ、本稿は単一時点・単一拠点に基づく研究の限界を指摘し、日本における『FFXIV』文化および長期運営型オンラインゲーム研究に向けた今後の協働的・比較的研究の可能性を提示する。