抄録
種々の膝関節疾患の愁訴として階段昇降時痛が多い。その病態や治療を考慮するうえで、階段昇降時の正常膝関節運動を理解することが重要である。本研究の目的は、階段昇降動作における正常膝関節運動の詳細を明らかにすることである。膝関節の疼痛や下肢に既往歴のない健常被験者11例22膝を対象とし、三次元動作解析システムを用い、PC法により膝関節の6自由度運動を解析した。本研究結果から、昇段時の初期接地から引き上げ相始めにかけて、脛骨が内旋のみでなく外旋を呈する例を認めた。
昇段時の初期接地から引き上げ相では個々の体格、下肢アライメント、筋力、関節可動域などに応じた効率的な運動戦略をとる可能性が考えられた。