道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
小児の緊張型頭痛に対する母趾球重心のスクワットの有効性
遠藤 明
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2023 年 6 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

【序】新型コロナウィルス感染症流行時に運動量低下による緊張型頭痛を発症した小児に対して家庭でできる簡便なエクササイズの有効性を検討した。【対象】頭痛を主訴に当院を受診した男児10例、女児2例。平均年齢10.42歳。【方法】1)踵重心を矯正、2)骨盤後傾、頸椎前湾を矯正、3)抗重力筋の筋力向上の3点すべてを満たすエクササイズとして11歳以上に自重のバーバルスクワット、10歳未満に踵付け母趾球重心スクワットを1セット10~12回、毎日2セット以上を行うように指示した。エクササイズ開始2週後に頭痛、姿勢、僧帽筋筋硬度の変化を測定し比較検討した。筋硬度は井元製作所筋硬度計PEK-1を用いて僧帽筋部4点の筋硬度を測定し、平均値を求めた。【結果】1)実際に行ったセット数は平均1.17セット/日。2)頭痛消失10例/12例、頭痛軽減2例/12例。3)全例、骨盤後傾、頸椎前湾の姿勢が改善した。4)僧帽筋の筋硬度は有意に低下した。【考察】少ないセット数でも正しいフォームの筋トレにより姿勢が改善され緊張型頭痛は軽減~消失することが判明した。日本人に多い踵重心による骨盤後傾と頸椎前湾は肩関節可動域減少、腹腔内臓器機能低下、歩幅減少をもたらす。若年期のうちに抗重力筋エクササイズの正確な方法を習得させると正しい姿勢の保持強化となり、フレイル、認知症の予防につながるためもっと奨励されてよいと考えられる。【結語】運動量減少による緊張型頭痛の根治治療として自重スクワットは有効である。

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