道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
医療現場でのRPAの有効活用
橋本 拓幸伊藤 拓也奥 亮介高橋 政憲二木 克明深瀬 晃一
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キーワード: RPA, 働き方改革, PACS, 業務改善
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2023 年 6 巻 1 号 p. 23-24

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抄録

【背景】本邦では、近年の労働人口の減少により深刻な人員不足が問題である。Robotic Process Automation(以下RPA)はパソコン上で行う単純作業を人間の代わりに実行し、業務の効率化・自動化を図ることで人員不足解消、作業時間の短縮が期待される。【目的】RPAを用いて、Picture Archiving and Communication System(以下PACS)の画像移行作業を実施し、作業時間の短縮、移行費用の削減を行った。【対象】当院の旧PACSにある2011年から2021年までの22,035件の画像を対象として実施した。【方法】Microsoft社製RPAソフトウェア、Power Automate for Desktopで処理を作成した。画像移行のプロセスは「旧PACSの画面を開く」、「対象の画像検査を選択」「画像のエクスポートを選択」「送信先の選択」、「画像の送信」5プロセスに分けられ、そのうち繰り返すのは「旧PACSの画面を開く」以外の4プロセスである。この4プロセスの所要時間を手動送信とRPAで比較した。【結果】当院のスタッフ3名で10検査の画像を送信した場合1検査当たりに要した時間は平均12.8秒だった。RPAを用いた方法では1検査当たりに要した時間は平均9.0秒だった。しかし、RPAでは安定動作のために処理間に数秒程度の遅延を入れるため、連続したプロセスにした場合は同程度となった。開発期間を含めて、2週間で画像移行作業を完了した。【結論】RPAは安定した動作のために遅延時間が必要な場合があり、動作は人間と同程度の速度になる場合があるが、24時間の稼働が可能であり、疲労によるミスがないため、人間の繰り返しの作業を代替し、人員不足解消・業務効率化に寄与すると考えられる。

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