抄録
新しい象牙質のエッチング剤として,AC(クエン酸3アンモニウム)水溶液の効果を調べた。5%, 10%, 20%,及び30% AC溶液を調整した。いずれの溶液もpH 7.3から7.4と中性であった。
10% ACでエッチングした後,プライマーMTYA・G・Hを作用させた場合に約7MPaと最大の接着強さが得られた。AC溶液でエッチングした後の象牙質表面をSEMで観察するとスメアー層は除去されているが,象牙細管は開孔していなかった。
さらに10% AC, 0.5のMEDTA,またはEDTA 3-2でエッチングした象牙質に対して,プライマーを作用させない場合プライマーとしてMTYA・Hまたは,MTYA・G・Hを作用させた場合の接着強さを比較検討した。各エッチング剤間で接着強さにそれほど差はなく,いずれの場合もMTYA・G・Hを作用させた場合が最も高い値を示した。