薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新規炭酸脱水酵素阻害剤ドルゾラミドの体内動態(I):ラットにおける 14C ドルゾラミド単回投与後の吸収,分布,代謝および排泄
原 健一長谷川 拓郎劔持 とし江畑 俊輔江角 凱夫神 義容根本 裕之
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1995 年 10 巻 1 号 p. 1-17

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抄録
ラットに14C塩酸ドルゾラミド(MK-507)を静脈内および経口投与した時の吸収,分布,代謝および排泄について検討した.また,ドルゾラミドおよびそのN一脱エチル体と血漿中蛋白との結合性についても検討した.
1.14C塩酸ドルゾラミド0.1~5mg/kgを雄性ラットに静脈内投与した際,血液中放射能濃度のAUCは0.5mg/kgまではほぼ投与量に依存して増加したが,1mg/kg以上の投与量では飽和が認められた.血液中放射能のほとんどは赤血球中に存在し,t1/2は10.5~11.3日と極めて遅かった.
2.静脈内,経口いずれの投与経路でも血中放射能濃度推移に雌雄差は認められず,経口投与時の吸収はほぼ完全であった.
3.14C塩酸ドルゾラミド0.51ng/kgを静脈内投与した際,放射能の大部分は血液中に存在した.組織内濃度は腎臓が最も高く,次いで肺,脾臓,骨髄,胃,肝臓,盲腸,大腸に高かった.ほとんどの組織は血液と同様な経時的推移を示した.
4.14C塩酸ドルゾラミド0.5mg/kgを静脈内投与後31日までに投与した放射能の74.7%が尿中に,11.8%が糞中に排泄された.経口投与後24時間までの尿中放射能排泄率は0.5mg/kg投与時24.7%,5mg/kg投与時73.8%であった.
5.血液,尿,組織中代謝物としてN一脱エチル体が認められたが,総放射能に対する代謝物の割合は0.5mg/kg投与時では低く,5mg/kg投与時では増加した.
6.血漿中蛋白との結合は,ドルゾラミド,N一脱エチル体とも弱く,30%以下であった.また,主結合蛋白はアルブミンであった.
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