薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新規抗アレルギー薬 KW-4679 の体内動態(第5報): 14C-KW-4679 のラットにおける胎児移行性および乳汁移行性
大石 孝義西家 弘佳小林 弘幸小林 智
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1995 年 10 巻 5 号 p. 707-721

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抄録
ラットに 14C-KW-4679 1mg/kg を経口投与した時の胎児移行性および乳汁中への移行性について検討し,以下の結果を得た.
1.14C-KW-4679 を妊娠12および19日目のラットに経口投与すると血漿中放射能濃度は速やかに上昇し,その後ほぼ二相性に消失した.
2.妊娠12日目において,母獣の血漿中放射能濃度に対する胎児内放射能濃度比は 0.18 と胎児移行性は低かった.母獣では腎臓および肝臓に血漿中より高い放射能が認められた.
3.妊娠19日目において,胎児血漿および各組織には母獣の血漿中放射能濃度の 0.07-03.8倍の放射能が検出されたが,胎児の組織内放射能濃度は母獣の血漿中放射能濃度とほぼ平行に減少した.
4.授乳ラットに 14C-KW-4679 1mg/kg を経口投与すると乳汁中放射能濃度は血漿中放射能濃度より遅れて最高値を示した.投与後4時間以降は血漿中放射能濃度より高く推移し,消失も血漿中放射能に比べ緩徐であった.乳汁中放射能の AUC0-∞ は,血漿中放射能のAUC0-∞ の約1.5倍であった.授乳した乳児の血漿中放射能濃度は,投与後24時間に最高値を示した後,乳汁中放射能とおおむね平行に消失した.3週齢の幼若ラットに 14C-KW-4679 を経口投与すると成熟ラットでの経口投与後に比べ,Cmax が高いものの消失はおおむね同様であった.
5.授乳ラットに非標識 KW-4679 1mg/kg を経口投与すると乳汁中未変化体濃度は投与後 0.25-24時間まで血漿中未変化体濃度の 0.36-1.97倍であった.乳汁中および血漿中未変化体の AUC0-24 は,乳汁中および血漿中放射能の AUC0-24 に対して,それぞれ 66.3% および 74.5% であった.
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© 日本薬物動態学会
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