薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
H2 受容体拮抗薬,塩酸ロキサチジンアセタートの体内動態(第10報):雄性イヌにおける単回静脈内投与後の血中濃度推移,代謝および排泄
落合 浩之長尾 康治藤方 明川辺 勝弘塚本 國雄岩村 敏
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1995 年 10 巻 6 号 p. 766-778

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抄録

[14C]TZUを雄性イヌに単回静脈内投与したときの血中濃度推移,代謝および排泄について検討した.
1.血液中放射能は投与2時間まで緩やかな減衰を示し,投与12時間までより速い消失相が認められた後半減期 7.34hr で減衰した。血漿中放射能も同様の推移を示した.
2.血漿および尿中の主代謝物 M-1,M-2 および M-3 について,これら3種の LC/MS-SIM による同時定量法を確立した.
3.血漿中M-1濃度は投与後10分に最高値(15.O nmol/ml)を示した後,半減期 0.22hr(T1/2α)および 1.71hr(T1/2β)の二相性で減少し,投与後24時間では定量限界以下であった.血漿中 M-2 濃度は投与2時間に最高値(2.8 nmol/ml)を示した後,半減期 1.93hr(T1/2α)および 6.77hr(T1/2β)の二相性で減少した.血漿中 M-3 濃度は投与後2時間に最高値(0.5nmol/ml)を示した後,半減期 3.05hrで減衰した.
4.投与24時間までの放射能の尿および糞への排泄率はそれぞれ 71.9% および 15.1%(合計87.0%)であり,168時間までの総排泄率は 98.4% であった.
5.尿中代謝物 M-3 の割合が酵素加水分解によって約4倍増加したことから,M-3 はグルクロン酸あるいは硫酸抱合を受けて排泄されると推定された.一方,M-1 および M-2 は抱合を受けずに排泄されると推察された.
6.LC/MS-SIM により求めた代謝物 M-1,M-2 および M-3 量の合計は血漿中および尿中放射能量の約50%および60%であることが判明した.

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