薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
遺伝子組換えヒト組織性Plasminogen Activator(rt-PA)誘導体(E6010)の体内動態に関する研究(2):ラットに125I-標識E6010を反復静脈内投与した時の血中濃度,分布,代謝および排泄
水尾 均菊池 きよ美三島 万年上田 正隆杠 輝昭
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1996 年 11 巻 6 号 p. 585-598

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抄録
125I-E6010を雄性ラットに投与量0.4mg/kgで1日1回,10日間,反復静脈内投与した時のE6010の血中濃度推移,分布,代謝および排泄について検討した.
1.10回反復投与後5分における血液および血漿中総放射能濃度,血漿中TCA沈澱画分中放射能濃度,免疫反応性E6010濃度は,いずれも単回投与後5分と比較して変化しなかった.反復投与終了後の血液および血漿中総放射能濃度,血漿中TCA沈澱画分中放射能濃度の消失は単回投与時に比較して遅延したが,免疫反応性E6010濃度はいずれの時点においても単回投与時と同様であった.
10回反復投与後5分のE6010画分および各代謝物画分の血漿中存在割合は単回投与時と同様であった.また,10回反復投与後のE6010画分の濃度推移は単回投与時と同様であった.
2.10回反復投与24時間後の組織内TCA沈澱画分中放射能濃度は,1回投与後24時間の濃度と比較すると脾,骨髄および甲状腺でそれぞれ3.7,3.7および3.2倍となったことを除き,ほとんどの組織では3倍未満であった.反復投与後の各組織内総放射能濃度およびTCA沈澱画分中放射能濃度の消失は単回投与時の結果と比較して遅延していたが,肝および腎中免疫反応性E6010濃度はいずれの組織においても単回投与時と同様であった.
3.尿および糞中への放射能の排泄は反復投与期間中ほぼ一定であった.反復投与後7日までに投与放射能量の92.42%および7.74%がそれぞれ尿および糞中に排泄された.尿中に排泄された放射能のほとんどは低分子の代謝物あるいは遊離の125Iであり,単回投与時と同様であった.
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© 日本薬物動態学会
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