薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
11 巻, 6 号
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  • 工藤 忍, 吉井 優子, 泉 清美, 坪井 貴司, 熊倉 博之, 中道 昇, 関野 久之
    1996 年 11 巻 6 号 p. 547-555
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Pharmacokinetics of famciclovir, a prodrug of an antiherpes compound BRL39123, was studied following a single and repeat oral administration of famciclovir to healthy Japanese volunteers.
    The active metabolite BRL39123 appeared in plasma at 0.5 hours after single ad ministration of famciclovir at 250, 500 and 1000 mg, reached Cmax in 2 hours and decreased with T1/2 of 1.84-2.03 hours. The Cmax and AUC0-∞ values of BRL39123 increased in proportion to the dose levels studied. The urinary excretions (% of dose) of BRL39123 and BRL42359 over 24 hours after administration were 53.35-60.92% and 5.06-6.40%, respectively, with no significant difference among the doses. Thus the pharmacokinetics of famciclovir after a single oral administration was linear in the dose range from 250 to 1000 mg.
    When famciclovir 750 mg was administered once a day on Days 1 and 7, and three times a day at 5-hour intervals on Days 2 to 6, no significant difference was detected in either AUC0-∞ or Cmax between Days 1 and 7. During the repeated administration, the plasma concentration of BRL39123 immediately before the first administration of the next dosing day was near or below the limit of reliable determination, indicating no accumulation by the repeat administration. There was no significant difference in Tmax or T1/2 between Days 1 and 7. The urinary excretions of BRL39123 and total metabolites determined were statistically not different between Days 1 and 7, and also between Day 1 and through the administration period. Hence, there was no evidence for drug accumulation and for alternation of the pharmacokinetics of famciclovir by the repeat dose regimen studied.
  • 水尾 均, 世古 隆之, 野瀬 浩一, 安藤 智美, 影井 佳子, 菊池 きよ美, 三島 万年, 上田 正隆, 中田 宏, 堀江 透, 杠 ...
    1996 年 11 巻 6 号 p. 556-584
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    125I-E6010を雄性ラットに単回静脈内投与した時の血中濃度推移,分布,代謝および排泄について125I-rt-PA投与時と比較検討した.
    1.125I-E6010静脈内投与後の血漿中からのクリアランス(CL)を125I-rt-PA投与時と比較すると,TCA沈澱画分中放射能濃度,免疫反応性濃度,線溶活性濃度および遊離のE6010濃度でそれぞれ1/10.3,1/11.2,1/3.1および1/5.5といずれの濃度においても125I-E6010投与時が低値を示した.血漿中には125I-E6010とα2-macroglobulinおよび125I-E6010とα2-plasmin inhibitorの複合体の存在が示唆され,これは125I-rt-PAにおいても同様であった.
    2.125I-E6010静脈内投与後,肝臓中TCA沈澱画分中放射能濃度は投与15分後に最高値に達しその量は投与放射能量の約19%であった.一方,125I-rt-PA投与時の肝臓中TCA沈澱画分中放射能濃度は投与5分後に最高値を示し,その量は約54%であり,両薬物間で肝への分布に明らかな差異が認められた.したがって,E6010とrt-PAの血漿中濃度のCLの差は肝への分布に起因していると考えられた.
    3.125I-E6010静脈内投与後7日までに投与放射能量の96.05%,および5.32%がそれぞれ尿および糞中に排泄された.また,投与後48時間までに投与放射能量の17.01%が胆汁中に排泄された.尿中および胆汁中に排泄された放射能のほとんどはいずれも低分子量の代謝物または遊離の125Iであった.
  • 水尾 均, 菊池 きよ美, 三島 万年, 上田 正隆, 杠 輝昭
    1996 年 11 巻 6 号 p. 585-598
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    125I-E6010を雄性ラットに投与量0.4mg/kgで1日1回,10日間,反復静脈内投与した時のE6010の血中濃度推移,分布,代謝および排泄について検討した.
    1.10回反復投与後5分における血液および血漿中総放射能濃度,血漿中TCA沈澱画分中放射能濃度,免疫反応性E6010濃度は,いずれも単回投与後5分と比較して変化しなかった.反復投与終了後の血液および血漿中総放射能濃度,血漿中TCA沈澱画分中放射能濃度の消失は単回投与時に比較して遅延したが,免疫反応性E6010濃度はいずれの時点においても単回投与時と同様であった.
    10回反復投与後5分のE6010画分および各代謝物画分の血漿中存在割合は単回投与時と同様であった.また,10回反復投与後のE6010画分の濃度推移は単回投与時と同様であった.
    2.10回反復投与24時間後の組織内TCA沈澱画分中放射能濃度は,1回投与後24時間の濃度と比較すると脾,骨髄および甲状腺でそれぞれ3.7,3.7および3.2倍となったことを除き,ほとんどの組織では3倍未満であった.反復投与後の各組織内総放射能濃度およびTCA沈澱画分中放射能濃度の消失は単回投与時の結果と比較して遅延していたが,肝および腎中免疫反応性E6010濃度はいずれの組織においても単回投与時と同様であった.
    3.尿および糞中への放射能の排泄は反復投与期間中ほぼ一定であった.反復投与後7日までに投与放射能量の92.42%および7.74%がそれぞれ尿および糞中に排泄された.尿中に排泄された放射能のほとんどは低分子の代謝物あるいは遊離の125Iであり,単回投与時と同様であった.
  • 水尾 均, 安藤 智美, 影井 佳子, 三島 万年, 杠 輝昭
    1996 年 11 巻 6 号 p. 599-606
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    125I-E6010を妊娠ラットまたは哺育中ラットに投与量0.4mg/kgで単回静脈内投与した時の胎盤通過性および乳汁中移行性について検討した.
    1.妊娠13日目および19日目のラットに125I-E6010を静脈内投与15分後の胎児中放射能濃度は母動物血漿中濃度の1/245~1/348と低く,その放射能のほとんどはTCA可溶性であった.妊娠19日目の投与後2時間以降における胎児の甲状腺部の放射能濃度は,母動物と同様に他の胎児組織内濃度に比較してきわめて高かったが,この甲状腺部の放射能は遊離の125Iの甲状腺への集積によると推察された.これらのことから,E6010の胎盤通過性は低いことが示唆された.
    2.分娩後12日目の哺育中ラットに125I-E6010を静脈内投与した時,乳汁中にはTCA沈澱画分中放射能が認められ,これは経時的に増加し投与24時間後に最高値となったが,いずれの時点においてもE6010抗原は認められなかった.したがって乳汁中放射能は未変化体に由来するものではなく,そのほとんどは125I-E6010が分解されて生じた低分子量の代謝物あるいは遊離の125Iに由来した乳汁中成分の蛋白質などの高分子物質によるものと推定された.
  • 内山 利満, 荒川 庄一郎, 上島 久正, 唐澤 良夫, 関 英昌, 寺門 栄
    1996 年 11 巻 6 号 p. 607-613
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    [125I]LBIを雄性ラットにiodineとして10mg/kgを1日1回,7日間,反復経口投与した際の吸収,分布および排泄について検討した.
    1.毎回投与後3時間の血液中放射能濃度は,2回投与以降1回投与における濃度の1.9倍前後を示してほぼ定常状態に達する傾向が認められた.また,毎回投与後24時間の血液中放射能濃度は投与回数に伴う変化は認められなかった.
    7回投与後の血液中放射能濃度は投与後1時間に最高濃度11.16μg eq. of iodine/mlを示したのち,投与後3時間から12時間まで半減期6.7hr,24時間から72時間まで半減期23hrで消失した.
    2.7回投与後24時間の組織内放射能濃度は,血漿中放射能濃度に比し甲状腺で415倍,胃,皮膚,白色脂肪,褐色脂肪および骨髄で9~2倍の高値が認められたほかは,血漿とほぼ同程度かあるいは血漿より低い濃度を示した.各組織に移行した放射能の消失は比較的速やかであり,7回投与後336時間では甲状腺に24時間値の66%,白色脂肪および精巣上体にそれぞれ24時間値の37%および33%が認められたほかは,いずれも24時間値の22%以下あるいは検出限界以下となった.
    これらの結果は全身オートラジオグラフィーの結果とほぼ一致した.
    7回投与後24時間から336時間における血球移行率は経時的変化は認められず,33%前後と低い値を示した.
    3.毎回投与後24時間における尿および糞中に排泄される放射能の割合は,各回投与後の累積投与量に対してその約90%が尿中に,約10%が糞中にそれぞれ排泄され,投与回数に伴う変化は認められなかった.
    以上の結果から,投与4時間後にすでに血液から特異的に甲状腺への移行が認められ,336時間後でも高く分布することが示された.他の器官では血漿における濃度変化とほぼ平行した変化を示し,蓄積性,残留性を認めなかった.
  • 村田 光夫, 高木 毅, 奥村 公紀, 高原 栄二, 永田 治
    1996 年 11 巻 6 号 p. 614-626
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    14C-ツロブテロールあるいは非標識ツロブテロールをテープ剤としてラットに経皮投与し,吸収,分布,代謝および排泄について検討した.
    1) ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したときの血液中放射能濃度は雌2時間,雄4時間で最高濃度に達し,以後T1/2それぞれ15.9,15.7時間で減少した.
    2) 雄性ラットに非標識ツロブテロールを5,10,20mg/kg経皮投与したとき,未変化体の血液中濃度は4.0~5.5時間で最高濃度に達した後徐々に減少し,剥離後のT1/2は2.6~2.9時間であった.また,経皮投与後の生物学的利用率は50.2%と経口投与時(4.7%)の約10倍大きかった.さらに,5~20mg/kgの範囲でCmax,AUCと投与量の間に直線関係が認められた.
    3) 雄性ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,ほとんどの組織で投与後4時間に最高濃度を示した.貼付部皮膚,肝臓,腎臓に比較的高い放射能がみられ,作用部位と考えられる肺,気管への移行も確認された.各組織からの消失は血液中濃度推移と同様であり,残留性は認められなかった.
    4) 雄性ラットに14C-ツロブテロールを皮下投与後の尿中には経口投与時と同様の代謝物が認められ,皮下投与後の遊離の未変化体は経口投与時の排泄率0.1%から3.1%に上昇した.
    5) ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,168時間までの尿糞中排泄率は雄で尿50.8%,糞35.4%,雌で尿52.8%,糞34.7%であった.尿,糞およびテープ中薬物残存を合計した回収率は雄で99.5%,雌で100.3%とほぼ完全であった.
  • 村田 光夫, 高木 毅, 奥村 公紀, 高原 栄二, 永田 治
    1996 年 11 巻 6 号 p. 627-633
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    14C-ツロブテロールをラットに反復経皮投与し,吸収,分布および排泄について検討した.
    1) 雄性ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg1日1回7日間反復経皮投与したときの血液中放射能濃度の最低濃度は4日目以降ほぼ一定しており,定常状態に達していると考えられた.最終回投与後は5時間でCmax506.1ng eq./mlに達した.このときのT1/2は19.4時間であり,単回投与時(15.7時間)とほぼ同等であった.
    2) 7日間反復投与後4時間では単回投与時同様貼付部皮膚,肝臓および腎臓に比較的高い放射能が認められた.各組織中放射能濃度は単回投与後に比べて高い傾向を示したが,血液中濃度と同様な推移で減少し,残留性を示す組織は認められなかった.
    3) 尿および糞中への放射能の排泄は投与期間中一定していた.7日間反復投与後168時間までに尿,糞へそれぞれ53.8%,36.3%排泄された.総回収率(尿,糞およびテープ中薬物残存の合計)は98.6%であった.
  • 村田 光夫, 高木 毅, 奥村 公紀, 高原 栄二, 永田 治
    1996 年 11 巻 6 号 p. 634-641
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    14C-ツロブテロールあるいは非標識ツロブテロールをテープ剤として幼若ラットに経皮投与し,吸収,分布および排泄について検討した.
    1) 幼若ラットに14C-ツロブテロール10mg/kgを経皮投与したときの血液中放射能濃度は雌雄とも4時間で最高濃度に達し,以後T1/2それぞれ17.0,17.3時間で減少した.
    2) 幼若雄性ラットに非標識ツロブテロールを5,10,20mg/kg経皮投与したとき,血液中未変化体濃度は4.0時間で最高濃度に達した後徐々に減少した.剥離後のT1/2は2.8~2.9時間であった.また,5~20mg/kgの範囲でCmax,AUCと投与量の間に直線関係が認められた.3) 幼若雄性ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,ほとんどの組織で投与後4時間に最高濃度を示した.特に貼付部皮膚で高い放射能が肝臓,腎臓に比較的高い放射能がみられ,肺,気管への移行が確認された.各組織からの消失は血液中濃度推移と同様であり,残留性は認められなかった.
    4) 幼若ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,投与後168時間までの尿糞中排泄率は雄で尿50.1%,糞30.5%,雌で尿52.5%,糞32.2%であった.テープ中薬物残存率は雄で18.7%,雌で13.8%,回収率(尿,糞およびテープ中薬物残存の合計)は雄で99.4%,雌で98.5%であった.
  • 玉井 郁巳
    1996 年 11 巻 6 号 p. 642-650
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Although passive diffusion, which depends on the lipid solubility, is a fundamental mechanism for the membrane transport of many of compounds, water-soluble compounds also cross cell membranes by the specialized carrier-mediated transport mechanisms. We have demonstrated that several drugs are transported by the tissue-specific transporters in intestinal and renal epithelial cells, hepatocytes and brain capillary endothelial cells which form the blood-brain barrier. They include oligopeptide transporter, monocarboxylic acid transporter, anion antiporter, organic anion transporter, and P-glycoprotein. Most of them functions for the uptakes of drugs into the cells leading to the increased permeability, others exclude drugs out of cells, thereby decreasing apparent permeability into cells. It was also found that a certain drug which crosses by the certain transporter in the intestinal membranes is sometimes recognized by the other transporter, or not recognized by transporters in other tissues. This finding demonstrates that it would be possible to expect tissue specific delivery of drugs by utilizing transporters which have different characteristics among tissues. Such a difference in permeability among tissues would be difficult to expect when the membrane transport is carried out by passive diffusion. There are more evidences for carrier-mediated transport of many drugs in various tissues other than mentioned in the present study. Further mechanistic clarification and quantitative analysis of pharmacokinetic importance of such transporters will help the development of effective strategies for the site specific drug delivery.
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