薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
超短時間作用型β1遮断剤ONO-1101の体内動態(第1報):ラットに単回静脈内投与後の血中動態,分布および排泄
恒川 健今若 治夫藤本 博昭石堂 雅恒柴川 公雄平工 誠治
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1997 年 12 巻 1 号 p. 5-21

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抄録

ONO-1101をラットに単回静脈内急速投与あるいは静脈内定速注入時の血中動態,分布,排泄について検討した.
1.雌雄ラットに14C-ONO-1101を0.3,1,3,10mg/kgの用量で静脈内急速投与した時の,血漿中総放射能濃度推移から求めた無限大までのAUCは用量に応じた増加が認められ線形性が確認された.消失相の半減期は27~33分であり,雌雄差は認められなかった.
2.14C-ONO-1101を1mg/kgの用量で静脈内急速投与したときの組織中放射能は,投与初期(5,15分)で腎臓,肝臓,肺,気管で高濃度であり,皮膚,各組織・臓器採取後の死骸において分布量が多かったが,経時的に減少し投与後24時間では検出限界以下あるいはきわめてわずかな放射能濃度となった.中枢,胎児への移行はほとんど認められなかった.
3.乳汁への放射能の移行は投与後1時間で最高濃度(278.8ng eq/ml)に達し,投与後24時間には放射能濃度は2.4ng eq/mlであった.
4.静脈内急速投与された14C-ONO-1101の投与72時間までの尿中排泄率はそれぞれ雄85.6%,雌84.2%であった.また,投与72時間までの糞中への排泄率は雄9.9%,雌12.0%であった.
5.14C-ONO-1101を1mg/kgの用量で静脈内急速投与後の胆汁排泄率は24時間までに雄6.1%,雌9.5%が排泄され雌雄差が認められた.

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