薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
好中球エラスターゼ阻害剤ONO-5046·Naの体内動態(第3報):各種実験動物における代謝および血清蛋白結合
藤本 博昭今若 治夫中出 進山本 隆造平工 誠治
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1997 年 12 巻 6 号 p. 576-588

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抄録
種々実験動物でのONO-5046·Naの代謝および血清蛋白への結合を検討した.
1.LC/MS/MSを用いラットの主代謝物M-1の構造を合成標品であるONO-EI-601と比較することで確認した.また,M-1の硫酸抱合体およびグルクロン酸抱合体の存在も確認した.
2.雌雄ラットに14C-ONO-5046·Na(1mg/kg)を静脈内投与後の血漿中ONO-5046·Naおよび代謝物組成を検討した.投与後15分では血漿中放射能の25.5~26.5%が未変化体であり,56.6~67.5%がM-1であった.また,雄性ラットにおけるM-1硫酸抱合体の血漿中濃度は雌性ラットに比べておよそ10倍高かった.投与後2時間での主代謝物は雌雄ラットともにM-1であった.
3.雌雄ラットに14C-ONO-5046·Na(1mg/kg)を静脈内投与後の尿中代謝物組成を検討した.尿中において未変化体は認められずほとんどがM-1であった.また,雄性ラットにおけるM-1硫酸抱合体の排泄量は雌性ラットよりおよそ3.5倍高い値であった.
4.雌雄ラットに14C-ONO-5046·Na(1mg/kg)を静脈内投与後の胆汁中代謝物組成を検討した.胆汁中への未変化体の排泄は投与量の0.1%以下とわずかであった.M-1およびM-1グルクロン酸の排泄量に雌雄差は認められなかったが,M-1硫酸抱合体の排泄量は雄性ラットで3.5倍程度高かった.
5.ONO-5046·Naはラット,イヌおよびヒト血漿中で安定であった.また,ラットおよびイヌ肝9000×g上清中で速やかに水解された.
6.ラット,イヌ,ハムスターおよびヒト血清における14C-ONO-5046·Na(10μg/ml)の蛋白結合はそれぞれ99.6,96.7,99.6および99.6%であった.いずれの種においても60μg/ml以上の濃度で血清蛋白結合は低下した.
7.雄性ラットに14C-ONO-5046·Naを1mg/kgの用量で投与後の血清中蛋白結合は投与後5および30分でそれぞれ99.79および99.07%であった.
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