抄録
フォルスコリン水溶性誘導体である急性心不全治療薬NKH477の体内動態を調べるために,ラットおよびイヌに14C-NKH477および非標識NKH477を単回静脈内投与したときの血中濃度,分布および排泄について検討した.
1.ラットに14C-NKH477を0.011~0.3mg/kg静脈内投与したとき,血液中放射能濃度は二相性で減衰し,そのときの消失半減期t1/2βは70.67~118.23時間であった.血液中放射能濃度は血漿中放射能濃度に比べその消失は緩やかであり,その理由は放射能の赤血球への結合によるものと考えられた.
2.ラットにNKH477を静脈内投与したとき,未変化体NKH477および活性代謝物M-1の血漿中濃度は速やかに消失し,そのときの半減期はそれぞれ0.23および0.25時間であった.M-1のAUC0-∞は未変化体のAUC0-∞に比べ低かった.
3.イヌに静脈内投与後,血液および血漿中放射能濃度は二相性で減少した.血液中放射能濃度は血漿中放射能濃度に比べ緩やかに消失した.血液からの消失はラット投与時に比べ速やかであった.
4.麻酔下のイヌにNKH477を0.15~0.60μg/kg/minの投与量で2時間静脈内持続投与したとき,血漿中未変化体とM-1の消失半減期は1.57~2.36時間であった.M-1のAUCは未変化体NKH477の約1/2であった.
5.ラットに静脈内投与後,放射能は中枢神経系を除いて速やかに組織に広く分布した.特に肝臓中放射能濃度は他の組織に比べ高かった.心臓,血液,脾臓および副腎を除き多くの組織中放射能は速やかに減衰した.
6.ラットに静脈内投与したとき,投与後144時間までに尿および糞中に放射能はそれぞれ6.4%および90.2%排泄された.胆管カニューレ処置したラットでは投与後72時間までに胆汁および尿中にそれぞれ77.1%および7.8%が排泄された.このことより,主排泄経路は胆汁を介した糞中であることが明らかとなった.
7.イヌに静脈内投与したとき,投与後144時間までに投与量の78.2%が糞中に排泄された.