薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
15(R)-15-Methylprostaglandin E2 (Arbaprostil)のラットにおける生体内動態の研究(第5報):胎盤通過性,乳汁中移行性および連続投与時の体内動態
大澤 康次幡野 恵西宮 一尋岡崎 彬太田 真一宇田 文昭柳田 由紀檜垣 洋子吉田 知江里
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1988 年 3 巻 4 号 p. 447-454

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抄録

妊娠ラットと授乳中の母獣に3H-CU-83を25μg/kg経口投与し,胎盤通過性および乳汁中への移行性を検討した.また,雄ラットに3H-CU-83を25μg/kgで1日1回で7日間あるいは14日間連続経口投与した際の体内動態を単回投与の結果と比較検討した.
妊娠19日の雌ラットに経口投与した時の母獣の組織内放射能濃度で高い値を示したのは肝臓と腎臓であったが,それぞれ血漿中濃度の約2.4倍と約1.9倍であった.胎仔の組織内濃度は投与後6時間に最高値を示したが,いずれも母獣に比べ極めて低い値であり,CU-83およびその代謝物は胎盤を極めて通過しにくいことが示された.
分娩後の授乳ラットに経口投与した場合,乳汁中放射能濃度は投与後2時間に最高値を示し減少した.しかし,血液中濃度と比較して,その濃度比は0.23~0.72と低く,乳汁中への移行は小さいことが明らかとなった.
2H-CU-83を25μg/kgで1日1回,単回投与と7日間あるいは14日間連続経口投与した時の血液中濃度推移,組織分布および尿,糞中排泄を検討した.7日あるいは14日間連続投与の最終投与後の血液中濃度推移は単回投与の結果と差がなかった.毎回投与後24時間の血液中濃度は投与後5日まで上昇し,その後は一定となる傾向を示した.組織内濃度は,単回投与に比べ7日間投与では増加が見られたが,7日間と14日間投与ではほぽ同じ濃度であった.また,尿および糞中への放射能の排泄は,最終投与後24時間までにほぼ終了した.以上より,本化合物の生体への蓄積性は極めて低く,連続投与しても体内に残留しないと考えられる.

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