薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Propiverine hydrochlorideの体内動態(第3報) ラット反復投与での吸収,分布,代謝,排泄および薬物代謝酵素系におよぼす影響
津田 益広山本 佳男宇田 和彦新藤 恭司川口 安郎
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1989 年 4 巻 5 号 p. 563-579

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抄録

14C-P-4をラットに反復投与したときの体内動態および肝薬物代謝酵素系への影響について検討し,以下の結果を得た.
1.P-4反復投与期間中の血液中放射能濃度は,投与5日後には定常状態となり,7回反復(最終)投与後の推移は,T1/2が延長したものの,その他のpharmacokinetic parameterは単回投与と大きな相違は認められな:かった.
2.P-4を反復投与することにより,組織中濃度は4回投与でほぼ定常となり,約1.3~3.0倍上昇したが,最終投与後徐々に消失し,反復投与により特に蓄積する組織は認められなかった.P-4反復投与後の全身ARGの結果においても同様であり,反復投与による特定臓器中への薬物の貯留は認められなかった.3.P-4反復投与期間中放射能の尿中排泄率はほぼ一定の値を示し,糞中排泄も最終投与後48hrでほぼ完了した.これらの排泄率は単回投与(絶食時投与)とほぼ同じ値であった.また,最終投与後96hrまでに総投与量の約99%が排泄され,体内残存はほとんどなかった.
4.P-4を反復投与することにより,N-oxidation活性およびN-demethylation活性に関与する酵素が誘導を受け,その結果としてP-4の代謝も充進されることが示された.

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