抄録
14C-KW-3049を妊娠ラットに経口投与し,全身オートラジオグラフィーおよび組織内濃度測定をし,胎仔移行について検討した.また,分娩後14日目の授乳ラットに経口投与し,乳汁中への薬物の移行について検討した.以下にその要約示す.
1.妊娠12日目および19日目のラットに14C-KW-30491mg/gを経口投与したとき,胎仔への放射能の移行が認められたが,母体血漿中放射能濃度に比べ,胎仔中濃度は1/3以下であった.胎仔に移行した放射能は,速やかに消失した.妊娠19日目の胎仔組織内濃度を対応する母体組織内濃度と比較すると,胎仔脳内放射能濃度のみ母体脳内放射能濃度よりも高い値を示した.母獣においては肝,肺,副腎,膵臓および腎に高い分布を示した.
2.授乳期のラットに14C-KW-3049を経口投与したとき,乳汁中の放射能濃度は,各時点において血漿中放射能濃度とほぼ等しい値を示した.さらに乳仔血漿中放射能濃度は,母体血漿中放射能濃度と比較して低いものであった.