薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
高脂血症治療薬Simvastatinの体内動態(第2報):ラットにおける反復経ロ投与後の吸収,分布,排泄および胎仔ならびに乳汁中移行性
大多和 昌克内山 尚孝斉藤 郁江角 凱夫神 義容
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1990 年 5 巻 2 号 p. 151-163

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抄録
雄性ラットに[14C]simvastatin(10mg/kg/day)を1日1回21日間反復経口投与したときの,血漿中放射能濃度推移,尿および糞中排泄率の変動ならびに臓器,組織内濃度を測定し,放射能の蓄積性の有無について検討した.さらに妊娠ラットにおける放射能の胎仔移行性ならびに授乳ラットでの乳汁中移行性についても併せ検討した.
1.反復投与期間中の各回投与後1時間の血漿中放射能濃度はほぼ一定値で推移した.各回投与24時間後の血漿中放射能濃度は,定量限界以下かまたはそれに近い値であった.
2.反復投与1日目と21日目の血漿中放射能濃度推移はほぼ一致し,ファーマコキネティックパラメーターに有意な差はなかった.
3.反復投与期間中,尿および糞中への放射能の排泄は投与3日目よりほぼ一定値で推移し,最終投与後96時間までの尿中排泄率は総投与量の9.0%,糞中排泄率は91.4%であった.尿および糞中への放射能の排泄パターンは単回投与時と差はなかった.
4.反復投与時の最終投与後の組織内濃度は,単回投与時に比べ,放射能の検出される組織の数が増える傾向がみられたものの,投与後96時間では肝臓を除きいずれも非常に低い値まで減少した.投与回数の増加にともなう放射能の蓄積傾向はみられなかった.
5,Simvastatinの21日間反復投与における本薬物およびその代謝物の蓄積,残留は非常に少ないものと考えられた.
6.妊娠12日目および18日目のラットに[14C]simvastatinを経口投与したときの全身ARGの比較では,妊娠18日目の胎盤i通過性は妊娠12日目よりやや高くなる傾向がみられた.
7.妊娠12日目では胎膜に,妊娠18日目では胎膜,胎仔の肝臓および肋骨に母体血液より高い放射能が観察されたが,いずれも24時間後には痕跡程度であった.
8.妊娠18日目の母体および胎仔の臓器,組織内放射能濃度の定量結果では,各胎仔組織内濃度は母体血漿中濃度の1/2以下であった.胎仔1匹当たりの放射能の移行率は,投与量の0.02%以下であった.
9.乳汁中放射能濃度は,各測定時点における母体血漿中濃度の約1/2以下であった.
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