薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
高脂血症治療薬Simvastatinの体内動態(第1報):ラットにおける単回投与後の吸収,分布,代謝,排泄
内山 尚孝斎藤 由子加々見 弥生原 健一斉藤 郁沢崎 芳男大多和 昌克
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1990 年 5 巻 2 号 p. 133-149

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抄録
[14C]Simvastatinを雄性ラットに単回経口および静脈内投与し,吸収,分布,代謝および排泄について検討し,以下の結果が得られた.
1.[14C]Simvastatinを3,10および30mg/kg経口投与後,血漿中の放射能濃度は投与量に比例して増加した.血漿中放射能濃度ぱ投与後2時間に最高値を示し,その後3.8~5.2時間の半減期で消失した.
2.放射能は,速やかに広く各組織に移行し,多くの組織で投与2時間後に最高濃度に達した.放射能濃度は,消化管,肝臓次いで腎臓中で高かった.96時間後では,それぞれの組織で最高値に比べ非常に低い値であった.全身オートラジオグラフィーは,放射能濃度測定結果と同様の分布傾向を示した.
3.経口投与後96時間までに投与した放射能の8.1%が尿中に,83.3%が糞中に排泄された.胆管カニューレを施したラットにおける放射能の胆汁および尿中排泄率は,おのおの投与量の45.3%および3.9%であった.標識体の消化管吸収率は約50%と算出された.腸肝循環を検討したところ,胆汁中に排泄された放射能の31%が再吸収された.
4.SVAのラット血清蛋白との結合率は高く,90%以上だった.経口投与後,血漿中放射能の蛋白結合率は33~37%であり,赤血球/血漿中濃度比は0.34~0.53であった.
5.Simvastatinはラットにおいて,経口投与後広範な代謝を受け,HMG-CoA還元酵素阻害活性を有する物質のsystemic bioavailabilityは4%であった.
6.血漿中では,2,2-dimethylbutyric acid(DMB)と2,2-dimethyl-3-hydroxybutyricacid(DMHB)およびSVAが総放射能の多くの部分を占めた.肝臓中ではSVAが主代謝物だった.胆汁中では,SVAの3'一水酸化体および6Lカルボン酸体が認められ,さらに多数の未知代謝物が存在した.尿中では,DMBのグルクロニドおよびグリシン抱合体,さらにDMHBが主として存在した.Simvastatinは,上記の組織および排泄物中に認められなかった.
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