薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
塩酸ロプリノンの体内動態(第1報): ラットにおける単回静脈内投与時の血中濃度,分布,代謝および排泄
金子 和裕〓野 恭一中島 きよ美佐野 善寿杠 輝昭泉二 奈緒美河合 直士長谷川 伸一重松 昭世
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1994 年 9 巻 2 号 p. 149-162

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抄録
14C-塩酸ロプリノンをラットに単回静脈内投与した際の血中濃度,分布,代謝および排泄について以下の結果を得た.
1)全血,血漿および血球中放射能濃度は2相性を示し,投与後24時間で検出限界以下まで減少した.血球への移行性は約21.6%程度と低かった.また,血漿の消失半減期はλ1相が9.7分,λ2相が3.6時間であり,投与後24時間までのAUCは731ng eq.·hr/mlであった.
2)In vivoにおける血漿蛋白結合率は70.0~75.6%であり経時的な変動は少なかった.またin vitroにおいては濃度にかかわらず約70%程度であり,in vivoとほぼ同じ数値になった.
3)組織への移行は速やかであり,投与後5分の値がほとんどの組織で最も高い濃度となった.標的組織である心臓,動脈および静脈を含めて組織からの消失は速やかであり,残留性はほとんど認められなかった.また,肝臓および腎臓は投与初期から高い放射能濃度を示しており,本化合物の排泄が速やかに始まっていることが明らかとなった.
4)本化合物の代謝物としてはイミダゾピリジン環が開裂したアミン体と未変化体のO-エノール型がグルクロン酸抱合された抱合体の2種が認められた.しかし,主要組織における主存在形態は未変化体であり,代謝を受けにくい化合物であることが示された.また,尿,糞中の主存在形態も未変化体であり,排泄された総放射能の90%以上は未変化体であった.
5)胆汁,尿および糞中への放射能の排泄率は,投与後24時間までに投与放射能のそれぞれ46.3,43.0および47.2%であり排泄は速やかであった.また,投与後96時間までに97.2%が体外へ排泄されたことより本化合物の残留性がほとんどないことが示された.
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