薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
L-DOPSの腎障害ラットにおける体内動態
庄野 文章伊藤 正樹水野 佳子中塚 巌吉武 彬
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 9 巻 6 号 p. 809-819

詳細
抄録

14C標識したL-DOPSを用い,腎障害ラットにおけるL-DOPSの体内動態について検討を行なった.
14C-L-DOPS(10mg/kg)を経口投与した部分(5/6)腎摘出ラットの血清中14C濃度は,擬i手術群に比べT1/2が遅延し,Cmaxは3倍,AUC0-48は10倍に増加したが,尿,糞中14C排泄率(0-72hr)に差は認められなかった.
腎摘出ラットにおける血清中代謝物としては3-OM-DOPS,Vanillic acid(VA),Protocatechuic acid(PA)およびVA,PAの抱合体が検出され,主要代謝物はVA,PAの抱合体であった.
主要組織における14C濃度は正常ラットと同様血清中濃度とパラレルに変化し腎摘出によっても特異的に14C濃度が増加する組織はなく,また組織からの消失は速やかで高い残留性を示す組織はなかった.
14C-L-DOPS(10mg/kg)を連続(1日1回7日間)投与した部分腎摘出ラットにおける初回,4回,7回投与後の血清中14C濃度推移は初回投与時と顕著な変化はなかった.
7日間連続投与後の組織中14C濃度は,単回投与時と比較し最高時点が早くなり組織からの消失は遅くなったが投与後72時間における濃度はすべて1.0μg eq./g以下となり残留性を示す組織は認められなかった.

著者関連情報
© 日本薬物動態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top