2020 年 30 巻 p. 118-124
本研究は,国立大学一般入試前期日程において,配点の複数パターンの設定が安定的な志願者数の確保に効果をもたらす可能性について,高校の進路指導現場に対するインタビュー調査から検討することを目的とする。配点の複数パターンの設定は,先行実施大学の分析からは安定的な志願者数を確保する施策として有効であることが示されていたが,インタビュー調査の結果,高校の進路指導現場でも,センター試験の結果に関わらず,志望大学に予定通り出願できる等の理由から肯定的に捉える割合が高いことがわかった。ただし,肯定的に捉える判断基準として,合格の可能性が高まるのかどうかがあると考えられ,指導する生徒たちの学力レベルや志望大学群等によって,各高校にもたらすメリットは一律ではないことが示唆された。