2024 年 34 巻 p. 134-138
入学者選抜改革ならびに学習指導要領の改訂が高校生の学習行動や入学者選抜への考えに与える影響を検討するため,2021 年と 2025 年の入学者選抜の対象となる高校生が 1 年生の時に調査を実施した。その結果,以下の三点が明らかになった。第一に,入学者選抜の変更に関して知っている人の割合は,2019 年が 8 割以上であったのに対し,2023 年は半数程度と大きく減少していた。第二に,学習時間に関しては,高校の特徴にかかわらず,2019 年と 2023 年で大きな違いが見られなかった。第三に,入学者選抜で重視されていたものもほとんど変化しておらず,「教科試験」,次いで「面接」「調査書」「志望理由書」であった。以上の結果から,少なくとも高校 1 年生にとっては,入学者選抜改革や学習指導要領の改訂は学習行動や入学者選抜への考えにあまり影響していないと推測される。