大学入試研究ジャーナル
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共通テストにおける障害のある受験生への支援の進展と課題
――大学入試センター試験と大学入学共通テストの受験上の配慮を中心に――
立脇 洋介
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2025 年 35 巻 p. 299-303

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抄録

2016年に施行された障害者差別解消法や大学入学共通テストへの変更が,障害のある受験生の大学受験にどのような影響を与えたかを調査した。その結果,以下の4点が明らかになった。第一に,受験上の配慮では,新たな技術を用いた配慮の追加,その他の配慮事項の明確化,申請手続きの支援,根拠資料の追加がなされていた。第二に,COVID-19の感染拡大時には,別室受験や個室受験に加えて,マスクなしでの受験等も行われていた。第三に,大学入学共通テストや新学習指導要領への変更に伴って,英語の単語数や試験時間の増加など障害のある受験生の負担が増加していた。第四に,2015年から2024年で全志願者数は12%減少していたものの,受験上の配慮利用者数は67%増加していた。現状は事後的な合理的配慮によって障害のある受験生の支援が行われているが,今後は試験設計の段階から障害のある受験生を想定し,環境を整備していくことが期待される。

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