2005 年 14 巻 2 号 p. 69-73
2カ月前より左右対称性の脱毛や前立腺嚢胞など副腎皮質機能亢進症を疑わせる症状を呈していたフェレットが,突然の元気消失と多飲多尿のため来院した。精査したところ,高血糖と尿糖および尿中ケトン体がみられた。糖尿病性ケトアシドーシスと診断し,インスリンの治療を行ったが,尿中ケトン体は消失したものの血糖値のコントロールは困難であった。副腎疾患の関与を疑い,試験的開腹を行ったところ,左右副腎の形状異常が認められたため,左副腎の全摘出と右副腎の部分切除を実施した。その結果,術後数日でインスリンの投与が不要になり,その後糖尿病の再発はみられなかった。病理組織検査では右副腎が副腎腺腫,左副腎が過形成と診断された。フェレットにおいて,副腎皮質機能亢進症が糖尿病を引き起こす可能性が示唆された。