フレンチ・ブルドック,雄,8カ月齢が,去勢手術後に左鼠径部から陰嚢にかけての腫脹を示し,抗菌薬とステロイドで経過を追っていたが,さらに腫脹してきたことから,微量な持続的出血や陰嚢ヘルニアを疑い陰嚢の試験切開を実施した。腫脹部には鼠径部から続く変色した脂肪が陰嚢内にまで存在しており,その部位の切除生検を行った。病理学的検索では大部分が変性・壊死し,出血や炎症も伴った脂肪組織が観察され,その中央は再疎通しているが,血栓が形成された血管構造が認められた。これらの所見から本症例は,術後の体動により腹腔内脂肪の陰嚢ヘルニアを発症し,鞘状突起内に脱出した脂肪組織が絞扼され脂肪壊死が生じたと考えられた。本症例によって,去勢手術においても術後管理や飼い主指導の重要性を再認識する機会となった。このことが,去勢手術後の管理および合併症の対応に寄与することを期待したい。
8歳のトイ・プードルが , 食道内異物による食道穿孔と胸膜炎の疑いで紹介来院した。胸部単純 X 線検査や CT 検査にて食道内に Y 字型の骨と思われる異物を認めた。症状や稟告から食道内に鶏の骨が長期間停滞して食道を圧迫し , 食道穿孔を引き起こしたものと診断した。さらに二次的に胸膜炎を起こしていると判断した。骨の特殊な形状から摘出には困難を伴い , 両側の肋間開胸術や内視鏡を用いることで異物の摘出および食道穿孔の整復を行うことができた。
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