動物臨床医学
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特別寄稿
症例報告
  • - とくに先発品と後発品の間に認められた治療効果の相違について -
    中村 有加里, 深瀬 徹, 秋山 等
    2023 年 32 巻 2 号 p. 44-49
    発行日: 2023/06/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    皮膚に瘙痒を生じ,シクロスポリンのカプセル剤の後発品が1週間にわたって投与されていた犬(フレンチ・ブルドック,雄,3歳9カ月齢)が来院した。皮膚症状として下顎に紅斑と色素沈着および脱毛,さらに四肢の掌面と足底面に紅斑がみられ,種々の皮膚科学的検査からアトピー性皮膚炎である可能性がきわめて高いと考え,また,膿皮症を併発していると診断した。そこで,シクロスポリンの同製剤の投与を継続するとともに,セファレキシン製剤を3週間にわたって投与した。その結果,膿皮症は治癒したが,アトピー性皮膚炎の症状は改善せず,血中シクロスポリン濃度(トラフ値)を測定したところ,検出限界値 (30 ng/ml) 以下であった。そこで,シクロスポリンを休薬し,プレドニゾロンのクリーム剤の外用塗布を行ったが,症状が悪化したため,シクロスポリンの先発品であるマイクロエマルション前濃縮物製剤を投与した結果,寛解を得ることができた。シクロスポリンは,製剤によってはその設計の違いから,薬物動態に差が生じる動物個体が存在することが推察された。

  • 諏訪 晃久
    2023 年 32 巻 2 号 p. 50-54
    発行日: 2023/06/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    貧血を主訴に来院した猫の3症例に対して,骨髄検査にて骨髄腫関連疾患と診断した。骨髄塗抹では,症例1,2はproplasmacytesを主体とした形質細胞の増加を認め,症例3はmature myeloma cellsを主体とした形質細胞の増加を認めた。全例でメルファランやクロラムブシルの治療を行い,症例1,2はそれぞれ第71病日と第82病日に,症例3は第288病日に死亡した。猫の骨髄腫関連疾患において形質細胞の細胞形態の違いをproplasmacytesとmature myeloma cellsを用いて鑑別可能か否かを検討した。

  • 塩澤 仁, 阪本 裕美, 入江 雄亮, 袴田 将大, 萩原 玲子, 沖 嘉尚, 加野 浩一郎, 中山 智宏, 坂井 学
    2023 年 32 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2023/06/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    アメリカン・コッカー・スパニエル , 雄 ,8 歳が , 肝酵素値の上昇と腹水の精査を目 的に来院した 。 CT 血管造影検査と腹腔鏡検査を実施し , 門脈圧亢進症を伴う肝硬変と診断 した 。 プレドニゾロンとスピロノラクトンを中心とした内科療法により , 症例の腹水は一 時的に改善した 。 しかし , 肝機能の低下と門脈血栓症の併発により腹水のコントロールが 困難となった 。 そのため , 腹腔鏡検査の際に採取した腹腔内脂肪組織から作製し保存して いた自家の脱分化脂肪細胞 (DFAT) を用いた細胞療法を試みた 。 自家 DFAT(1 × 106 個 /kg) は橈側皮静脈を経由に投与 ( 合計 6 回 ) したが , 有害事象は認められず腹水の軽減 など症例の生活の質 (QOL) を維持することができた 。 したがって , 自家 DFAT 細胞療法 は非代償性肝硬変の犬において安全な細胞療法と考えられた 。

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