動物臨床医学
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Case Report
骨転移をきたした悪性毛包上皮腫の犬の1例
信田 卓男圓尾 拓也萩原 由利子武田 晴央金久保 佳代杉山 大樹石川 剛司井上 明斑目 広郎茅沼 秀樹菅沼 常徳
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2008 年 17 巻 4 号 p. 117-122

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抄録

13歳,雌のビーグルが右第3乳頭頭側~左大腿部内側にかけて発生した再発性の皮膚腫瘤を主訴に来院した。同部位に腫瘍性病変が初発したのは約4年前であり,近医のもとで2度にわたる切除を行ったが再発したものである。病理組織検査では浸潤性毛包上皮腫と診断されていた。本学において再発腫瘤の拡大切除を行い,病理組織検査にて悪性毛包上皮腫と診断された。第56病日(術後7週)に鼠径部付近の皮膚に再発がみられ,第127病日(術後17週)に腰仙椎~尾椎への骨転移をきたし,疼痛を伴っていた。疼痛の制御などQOLの向上を目的に,第133病日から骨転移部位に緩和的放射線治療を行った。さらに第148病日からは骨吸収の抑制,骨疼痛の緩和等を目的にビスフォスフォネート製剤(ゾレドロン酸 商品名:ゾメタ)の投与を行った。第394病日,自宅にて死亡したが,生存中は疼痛の悪化もみられず,歩行可能であり良好なQOLを維持できた。

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© 2008 動物臨床医学会
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