抄録
9歳齢,未去勢雄のシーズーが元気食欲低下と嘔吐を認め来院した。血液検査にて貧血,好中球増加,血小板減少,生化学検査で肝酵素上昇,リパーゼとSpec-cPLの上昇と高血糖を認めた。骨髄検査では骨髄球系と赤芽球系は過形成を示し,巨核球系は重度の低形成であった。膵炎および後天性無巨核球性血小板減少症と診断し,支持療法とヒト免疫グロブリンやビンクリスチンによる免疫抑制療法を開始した。膵炎が改善後にプレドニゾロンを追加したところ,血小板数は急速に改善し第15病日に寛解に達し,その後薬剤を漸減し第179病日に休薬した。現在,症例犬は15カ月が経過し,良好に経過している。