2021 年 30 巻 2 号 p. 32-35
6カ月齢の雌の雑種猫の卵巣子宮摘出手術時に,左側子宮の異形成と同側の腎臓欠損が確認された。子宮の近位部は通常の位置に確認できたために卵巣と共に摘出した。猫の子宮の異形成は,約0.1%の割合で確認され,その30%で同側の腎臓の欠損を伴い右側に多いと報告されている。しかし,このような報告は国内ではない。本邦において猫の子宮卵巣摘出手術は最も頻繁に実施される手術の1つであるので,今回と同様の発生異常に遭遇する可能性は低くないと考えられる。子宮の異常が確認された場合には,同側の子宮以外の異常も確認する必要がある。