F_1 水稲2品種およびおのおのの母本・父本品種を,圃場へ埋め込んだ無底木枠内・個体条件下で生育させ,経時的に^<14>Nないしは^<15>N 塩化アンモニウムを施用後,試料を採取し,N吸収量および^<15>N 吸収速度に着目し,ヘテロシスの現象を検討した。F_1 水稲の生育は旺盛であり,6月初期にF_1 水稲の茎数・乾物重は両親よりも優っており,そのまま優って推移した。F_1 水稲のN吸収量も両親より優って推移したが,N含有率は両親よりも低く推移する傾向が認められた。水稲の生長とともに茎数・乾物重およびN吸収量の絶対値は大きくなるので,F_1 水稲と両親との差が広がったとしても,相対値であるヘテロシスの程度は成長とともに減少することもある。実際,これらの形質に関し測定前半では大きなヘテロシスが認められたが,後半においてはその程度は小さくなった。F_1 水稲の個体当たりの^<15>N 吸収速度は両親よりも大きく,測定前半においては50%以上のヘテロシスが認められたが,後半においては0〜30%へ減少した。単位乾物重当たりの^<15>N 吸収速度に関しては,F_1 水稲が両親より優る結果は必ずしも得られなかった。