日本土壌肥料学雑誌
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Print ISSN : 0029-0610
レンゲ, アカクローバー, ダイズの生育と根粒窒素固定能の発達に及ぼす硝酸態窒素の影響
呉 健一有馬 泰紘平田 煕
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1990 年 61 巻 1 号 p. 34-41

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抄録
レンゲ,アカクローバーとダイズを異なる硝酸態窒素濃度下でポット栽培し,植物生育,根粒形成,肥大および窒素固定状況を調査し,下記の結果を得た.1)アカクローバーとダイズの全乾物重と窒素集積量は培地への窒素施用によって増加したが,レンゲでは窒素施用による増加効果は認められなかった.肥料由来吸収窒素量は,各植物とも硝酸態窒素施用量の増加に従って増加した.全窒素に占める肥料由来吸収窒素の割合については,1回目のサンプリング時にレンゲとアカクローバーはきわめて近い値をみせており,ダイズより大きいが,2回目のサンプリング時にはアカクローバーとダイズに比べて,レンゲの方が小さかった.2)各植物体の全窒素含有率は,1回目のサンプリング時までともに硝酸態窒素施用によって上昇したが,2回目のサンプリング時にはそのようなことはみられなくなった.3)レンゲ植物全体および各器官の窒素含有率は最も高く,とくに根粒の窒素含有率は著しく高かった.そして,栽培全期間中において,レンゲとアカクローバーの根粒含有率は窒素施用量の増加に従って上昇したのに対して,ダイズでは低下した.4)培地への硝酸窒素の施用は,1回目のサンプリング時までは各植物の根粒形成,肥大および窒素固定能を強く抑制したが,2回目のサンプリング時ではN-200区のアカクローバーを除く植物の根粒ARAは依然として阻害されているものの,SARAは逆に窒素施用量の多い植物ほど高かった.5)いずれの植物種でも,根粒SARAと根粒窒素含有率との間で高い正の相関がみられた.
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© 1990 一般社団法人日本土壌肥料学会
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