1990 年 61 巻 6 号 p. 644-646
玉川水系の水質及び微生物を計測し,渋黒川に流入する玉川温泉の酸性水の影響を調べた.上流では,Al^3^+, Fe^3^+, SO_4^<2-> Cl^-の酸性陽イオンと陰イオンを多量に含み強い酸性を呈している.鉄・イオウ細菌はpHが低い上流に多く,pHが比較的高い下流部では減少もしくは消失したが,有機栄養細菌は下流に行くほど増加した.川底の砂質部に存在する無機および有機栄養の微生物は水中の微生物よりも著しく多く,これらの微生物は砂の表面に吸着されていると推定される.植生が存在しない砂の中にかなり多数の有機栄養微生物が検出されたことから,鉄・イオウ細菌の死菌体が有機栄養微生物の唯一のエネルギー源になっていることが推定される.