日本土壌肥料学雑誌
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籾がら,家畜ふん堆肥を混合した浄水ケーキの園芸培土としての適用性
六本木 和夫
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1993 年 64 巻 4 号 p. 385-392

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抄録

1)浄水ケーキのpH,陽イオン交換容量,交換性陽イオンは年間を通して一定していたが,全炭素,全窒素,無機態窒素,交換性マンガン,水溶性マンガン含量は3月〜7月に,可溶性アルミニウム含量は3月〜6月にかけて高くなった.2)土壌汚染防止法にかかわる1規定塩酸可溶性ヒ素,0.1規定塩酸可溶性銅含量は基準値以下であったが,全亜鉛含量は農用地の暫定管理基準値である120mg kg^<-1>より,平均で2.4倍高かった.3)浄水ケーキに対して容量比で籾がら30%,鶏ふん堆肥またはおが屑牛ふん堆肥10%混合して一定期間静置すると,浄水ケーキの交換性マンガン含量は低下し,有効態リン酸含量は増加した.しかし,鶏ふん堆肥の混合は浄水ケーキ中の無機態窒素の大幅な増加をもたらすため,混合資材としてはおが屑牛ふん堆肥が適していた.4)無処理の浄水ケーキの場合,野菜はマンガン過剰症のため枯死あるいは著しく生育が劣ったが,籾がら,おが屑牛ふん堆肥を混合した浄水ケーキでは,対照区と同等の生育を示した.5)籾がら,おが屑牛ふん堆肥を混合して交換性マンガン含量を低下させた浄水ケーキを80℃以上で蒸気消毒を行うと,マンガンの溶出が激しくなるが,70℃ではマンガンの溶出はわずかであった.

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© 1993 一般社団法人日本土壌肥料学会
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