日本土壌肥料学雑誌
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登熟にともなう玄米の糖・アミノ酸含有率の推移および窒素栄養条件の影響
建部 雅子宮田 邦夫金村 徳夫米山 忠克
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1994 年 65 巻 5 号 p. 503-513

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抄録
1) 玄米の全窒素含有率は,窒素施用量が増すにつれ,また施用時期が遅いほど上昇した. 2)遊離アミノ酸含有率は登熟にともない急激に低下し,収穫期にコシヒカリで9〜18,日本晴で5〜14 mmol kg^<-1> とコシヒカリで高く,窒素処理間差は1991年つくば栽培コシヒカリを除いて明らかではなかった. 3)アンモニア態窒素含有率は登熱にともない急激に低下し,収穫期にコシヒカリで21〜26,日本晴で15〜17mg kg^<-1> であり,無窒素区に比べ窒素施用でやや高まる傾向があった. 4)玄米のスクロース含有率は窒素施用量が増すにつれ,また施用時期が遅いほど低下し,その傾向はコシヒカリの方が日本晴より大きかった.収穫期の含有率はコシヒカリで6.4〜12.6,日本晴で6.5〜9.1mg kg^<-1> であった. 5)グルコースおよびフルクトース含有率は登熱にともない急激に低下し,いずれも窒素処理によって変化していなかった.グルコースはコシヒカリで0.21〜0.42で,日本晴で0.17〜0.36 g kg^<-1>,フルクトースはそれぞれ0.05〜0.17,0.04〜0.17 g kg^<-1> であった. 6)アミノ酸,アンモニア態窒素,グルコース,フルクトース含有率は2次枝梗粒より1次枝梗粒で,また粒厚の大きな玄米ほど低下した. 7)スクロースは,出穂20日間以降玄米中に一定量存在する成分であり,コメの食味が良好と思われる条件で含有率が高いことから,食味との関連が推測される.
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© 1994 一般社団法人日本土壌肥料学会
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