日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
関東ロームの土壌水分特性曲線のスケーリング
張 玉龍加藤 誠岡崎 正規
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1994 年 65 巻 6 号 p. 637-644

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抄録

関東ロームの桑畑の0〜10cm,10〜20cmの土壌から採取された90個のサンプルの土壌水分特性曲線にスケーリング技法を適用し,水分特性曲線の空間変動性などについて考察した.得られた結果は以下のように要約される. 1)「関東ローム」表層土の土壌水分特性曲線を表す推定式は VAN GENUCHTEN によって提案された,S=[1+(ah)^n]^<-m> が適切であった.ただし,Sは飽和度,hはサクション,a,n,m は定数である.この式をその土壌水分特性曲線のスケーリングに用いて,良好な結果を得ることができた. 2)得られた関東ロームの水分特性曲線のスケーリング係数(α)の分布は対数正規分布によって近似できた. 3)土壌の間隙率,強熱源量(有機物含量)と礫分含量が関東ロームの水分特性曲線のスケーリング係数(α)に影響する主要な因子と推定された.ただし,0〜10cmと10〜20cmの深さとでは,その影響因子が異なるものと考えられた.また,土壌水分特性のスケーリング係数(α)には関東ロームからなる畑地の表層(0〜10cm)と次表層(10〜20cm)土壌の間で顕著な差が認められた. 4)スケーリング係数(α)のセミバリオグラムより,研究対象とした桑畑で10〜20cmの土壌からランダム法を使って土壌水分特性曲線を測定する試料を採取するためにはサンプリング地点間隔は60cm以上とする圃場より広い圃場でのサンプリングによる検討が必要である.

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© 1994 一般社団法人日本土壌肥料学会
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