日本土壌肥料学雑誌
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発泡ケイ酸粒体を副資材とした食品工場排水汚泥の堆肥化過程における物質変動とその腐熟度についての一考察
粂井 利章高井 進吉田 重方鍬塚 昭三
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2003 年 74 巻 6 号 p. 731-736

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抄録
有機性副資材の代わりに発泡ケイ酸粒体を空隙確保材として添加した食品工場排水汚泥の堆肥化過程における物質変動を植物生育阻害作用の消長と対応させて調査し,ついで,汚泥堆肥の腐熟度評価指標について考察した.その結果,以下のことが明らかとなった.1)強熱減量および排気中のアンモニア濃度は堆肥化の進行に伴って漸次低下し,C/Nは一度低下したのち再び上昇した.2)堆肥の水抽出液中のアンモニウムイオン濃度は堆肥化の進行に伴って上昇したが,硝酸イオンは堆肥化過程でまったく検出されなかった.また,水抽出液中の低級脂肪酸は堆肥化初期においてのみ検出され,アルカリ抽出液の〓logKは堆肥化の進行に伴って上昇した.3)堆肥の組成は総じて堆肥化20〜30日後に安定化し,植物生育阻害作用は13〜20日後の間に消失した.その阻害作用の主因は,堆肥からの揮散アンモニアであると推定された.4)これらの結果から,強熱減量,排気中アンモニア濃度および〓logKの変動パターンが単純な関数に近似でき,かつ生育阻害作用と相関を示したことから,これらを腐熟度判定のための指標として利用できる可能性が示唆された.
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© 2003 一般社団法人日本土壌肥料学会
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