日本土壌肥料学雑誌
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ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)で木材多糖を架橋した化学改質紙紙筒によるテンサイの育苗栽培が苗と移植後の生育および収量に及ぼす影響
寺澤 秀和大崎 満
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2009 年 80 巻 6 号 p. 561-565

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抄録

ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)で木材多糖の水酸基を架橋により保護して,木材パルプそのものを微生物の分解を受けにくい構造にした化学改質紙が,テンサイの紙筒移植栽培において,苗と移植後の生育,および収量に及ぼす影響を調査した.1)化学改質紙紙筒は,育苗中に紙筒や育苗土への微生物繁殖を抑制し,混抄紙紙筒にみられた微生物が苗の根に及ぼす障害を軽減し,移植時の苗の生育を増加させた.さらに,混抄紙紙筒に比べて良好な移植時の苗の生育は,移植後6月中旬の生育も向上させた.2)化学改質紙紙筒の収穫時の根重と糖量は,混抄紙紙筒と有意な差がなかった.根の肥大により紙筒が開裂する6月中旬から収穫期までの約4ヶ月間の栽培期間に,移植後初期にみられた紙質の違いによる有意な生育差が縮小した.

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© 2009 一般社団法人日本土壌肥料学会
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