1981 年 31 巻 2 号 p. 43-51
技術文献とくに特許文献の"重要さ"を形成するものとしてはいろいろな事項(例えば経済的効果,社会的影響など)が考えられるが,ドクメンテーションの対象となりうるものとしては,特許権との係りをもつ新規性・進歩性が考えられる。しかし,そのままではごく限られた議論しか出来ないので,これを量,質,程度など拡がりをもった"異質性"という概念に変換して用い,実情・実体に則した現状分析を試みた。その結果,技術情報の純粋集合体とも言うべき"情報総量"という概念に到達し,これにより技術情報の一体性と個々の文献の全体との係りについて考察することができた。例えば,一旦公開された技術情報は,その時の技術水準を形成するという働きと全体との位地づけにより,グローバルな連帯関係の外に出ることはできない。今日多くのデータベースが各種サービスシステムを通じて実用に供されているが,それらの働きと,日常的技術情報活動に対して本論が何らかの示唆を与えるものとなれば幸である。