北海道矯正歯科学会雑誌
Online ISSN : 2432-6747
Print ISSN : 0916-202X
外科的矯正治療へのクリティカルパス導入に関する研究 : 第二報 術前矯正治療における精度の検討
北澤 慎一佐藤 嘉晃諏訪 伸輔岡本 亨梶井 貴史山崎 篤豊泉 裕山方 秀一山本 隆昭大畑 昇井上 農夫男飯田 順一郎
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2003 年 31 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
我々はこれまでに、外科的矯正治療にクリティカルパスを導入することを目的として、初診の診断時に立案した治療計画に対してどの程度の精度で術前矯正治療が行われているかを上下顎中切歯、咬合平面および下顎の後退量について、初診時での予測と術前矯正治療の結果および手術直前において再度予測された下顎の後退量との関係から検討し、以下の結果を得た。下顎の後退量について、初診時予測と術前矯正治療終了時での再予測との差異は前後方向で-2.7mmから+2.9mm、上下方向で-5.9mmから+2.4mmの範囲に分布し、絶対値の平均値はそれぞれ1.57mm、2.10mmであった。また、下顎の後退量の差異に関与する項目を検討するため重回帰分析を行ったところ、前後方向の差異には、上顎中切歯の初診時に予測された位置と術前矯正治療終了時における実際の位置との前後方向の差異と咬合平面傾斜角および下顎中切歯の前後上下方向それぞれの差異が関与していた。また、下顎の予測後退量の上下方向についての差異には、上下顎中切歯それぞれの上下方向の差異が関与していることが明らかとなった。以上より、初診時に予測した下顎の移動を達成するためには、上下顎前歯を前後方向のみならず上下方向についても正確に移動することが大切であり、そのためには術前矯正治療中に前歯の位置を評価する項目をクリティカルパスに導入し、歯の移動の精度を上げることが重要であると考えられた。
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© 2003 北海道矯正歯科学会
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