北海道矯正歯科学会雑誌
Online ISSN : 2432-6747
Print ISSN : 0916-202X
超弾性 NiTi コイルスプリング内蔵型急速拡大装置と従来型急速拡大装置が発揮する矯正力の比較
石川 里奈川村 尚彦山崎 敦永保田 好隆溝口 到飯嶋 雅弘
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2020 年 48 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

急速拡大装置(以下RME)を用いた上顎の急速拡大は、古くから臨床に適用されてきた。近年、超弾性NiTiコイ ルスプリングが内蔵されたRMEが市販された。本研究では、超弾性NiTiコイルスプリングが内蔵されたRMEと従 来型のRME 2種、計3種類により生じるそれぞれの矯正力を比較した。RMEのアーム部分のデザインを標準化 し、万能試験機(EZ test、島津製作所)に取り付けた一対の治具で保持した。各RMEを 1/4 回転または 1/2 回転ア クチベートし、生じた矯正力を室温(25℃)下で 10 分間測定した。この過程を5回繰り返した。測定結果は、一元 配置分散分析とTukey検定を用いて比較した(p < 0.05)。すべてのRMEにおいて、アクチベート量が増加するに つれて生じる矯正力も増加した。超弾性NiTiコイルスプリングが内蔵されたRMEは従来型のRMEと比較して、約 40%~60%小さい力を発揮した。RMEによって生じる力はアクチベートに伴い増加し、各アクチベート間の矯正 力はほぼ一定である。超弾性NiTiコイルスプリングが内蔵されたRMEは、NiTiコイルスプリングの超弾性効果に よって有意に小さく持続的な矯正力を発揮することが示された。

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