竹中大工道具館研究紀要
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縄文時代の建築用主要道具について–木の建築をつくる技術と道具の歴史に関する調査報告その2 –
渡邉 晶
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2000 年 12 巻 p. 1-33

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抄録
約4,000年前の出土建築部材の調査と復元実験の結果、縄文時代の建築用主要道具に関して、次のように要約するこができる。 (1) 約4,000年前に高床建築が存在していた。 (2) 高床建築の部材は、ホゾ・ホゾ穴などの仕口によって接合されていた。 (3) 建築用材は、ほとんどがクリ材であった。 (4) 約4,000年前の建築部材は、蛇紋岩磨製石斧によって加工されたと考えられる。 (5) 伐木段階では、縦斧形式の大型石斧が主要な道具であった。 (6) 製材段階では、縦斧形式の大型石斧、木製クサビ、横斧形式の大型石斧が主要道具であった。 (7) 建築部材加工段階では、縦斧・横斧形式の石斧と石鑿とが主要道具であった。 (8) 巨木柱を主体とした軸組を建て起こすためには、多くの人数を必要とした。 (9) 今回の復元実験で、縄文時代の建築部材加工に、石鑿が重要な役割を果たしていたことが明らかとなった。
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