竹中大工道具館研究紀要
Online ISSN : 2436-1453
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建築部材刃痕にみる古代の鑿の形状と工作技術
植村 昌子
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2009 年 20 巻 p. 19-35

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抄録
日本の古代の木造建築部材に残された、鑿の刃痕34 点から、当時の鑿の形と使用法について以下の特徴を見いだすことができた。 1 古代の鑿は加工および製材に使用され、伐木には使用されていない。 2 古代の鑿は、建築物の目に触れない部分を加工するために使用された。主な使用方法は継手仕口の加工である。 3 古代の鑿の刃先の形状は、直刃、刃先が緩やかに湾曲した曲刃、丸鑿(断面が曲刃)の三種類が存在した。 4 直刃の鑿には、15mm から35mm までの様々な刃幅が存在し、木材の切断や、製材に使用された。 5 刃先が緩やかに湾曲した曲刃の鑿には、40 ㎜から45 ㎜までの刃幅が存在した。木材の切断、丸く凹んだ面の切削、継手仕口の仕上げ削りに用いられた。 6 丸鑿(断面曲刃)は丸い  穴を彫るために用いられた。
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© 2009 公益財団法人竹中大工道具館
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